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M&Aニュース

                                               2008年11月27
 


  
 注目される事業承継税制と相続税の税額計算の見直し

 税制改正大綱は例年通り12月中旬頃に公表へ
      

  自民党の税制調査会は11日に総会を開催し、平成21年度の税制改正に向けた議論を開始した。
  先日発表された追加経済対策では、税制抜本改革の「中期プログラム」を年内に策定するとしており、個人、法人の所得課税、資産課税、消費税の方向性を示すとされていることから、消費税率の引き上げの問題や、予定されている基礎年金国庫負担割合の2分の1への引上げに要する財源等、「中期プログラム」の内容が注目されている。


◆ 海外子会社の配当免除について政府税調言及


 21年度の税制改正の議論が開始された。
 選挙を見据えた影響等から、小幅な改正との見方もされているところであるが、今回の改正では昨年の11月に税制改革の考え方を示した、政府税調の答申に盛り込まれた内容を、改めて確認しておく必要があろう。最近の税制をめぐる動きには、政府税調の答申を受けた流れが見受けられるからだ。
 
 例えば、追加経済対策の目玉とされる定額給付金であるが、政府税調の答申ではいわゆる「給付つき税額控除(税制を活用した給付措置)の議論」として取り上げている。
 また、21年度の改正で創設が検討されている海外子会社からの配当を非課税とする制度についても、政府税調は国際課税の分野で、海外では国外所得免除制度や海外子会社配当免除制度などの導入が提案されていることを明記した。何かと話題に上る消費税についても、「経済の動向や人口構成の変化に左右されにくい」とし、「税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしいと考えられる」としており、首相が示した税率引き上げに繋がる内容となっている。

 このような流れからすると、21年度の税制改正が、昨年、政府税調が示した基本的な考え方に従って行われるとの見方も、一つの考え方としてはできよう。


・・・・・中略・・・・・


◆ 注目される承継税制の創設と相続税の見直し

 次に、今回の改正で注目されている、事業承継税制の導入と、それに伴う相続税の税額計算の見直しについてであるが、相続税の課税方式について政府税調は、 「現行課税方式(法定相続分課税)は、導入当時(昭和33年度税制改正)の財産相続の状況を踏まえ、仮装分割への対応や分割相続が困難な農家及び中小企業における相続にも配慮する趣旨から導入された。
 しかしながら、必ずしも個々の相続人の相続額に応じた課税がなされず、また、一人の相続人の申告漏れにより他の共同相続人にも追徴税額が発生する、といった問題も指摘されている。
 また、居住等の継続に配慮した現行の各種特例は、現行課税方式の下では居住等を継続しない他の共同相続人の税負担をも軽減する効果があるため、制度の趣旨や課税の公平性の面からも問題と考えられる。これら特例の拡充はこの問題の増幅につながることにも留意する必要がある。

 課税方式のあり方については、こうした点を踏まえ、導入当時からの相続の実態の変化や各種特例の整備状況も考慮し、さらに具体的かつ実務的な検討が必要である。」
 との、考え方を示している。

 昭和33年にいわゆる遺産取得課税方式から、現行の法定相続分課税方式に見直されたわけだが、現行の課税方式では、居住等の特例が居住を継続しない共同相続人の税負担をも軽減する効果があるとしている。これは事業を継続しない相続人に事業承継税制の効果が行き渡ることと同義の指摘であり、今回の税額計算の見直しに繋がっている内容となっている。

 なお、事業承継税制については21年度改正で創設されるが、既に施行された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」の施行日である今年の10月1日から遡及して適用される。

 具体的には、非上場株式等の相続税の軽減措置であり、現行10%の減額措置が、80%の納税猶予とされる。

 その詳細は21年度の税制改正で決定されるが、猶予された相続税額が免除される具体的な場合とはどのようなケースであるのかや、相続時清算課税を利用して株式を生前贈与した場合に、相続税の納税猶予制度の適用が認められるのか、といった問題については、取扱いが明らかになっておらず、今回の改正要望項目としてあがっている。

 21年度の税制改正では、これらの改正要望がどのようになるのか、また、相続税の税額計算の見直しがどのようになるかについて注目される。





(以上参考;週刊「税務通信」第3042号)
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