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M&Aニュース

                                               2008年11月28
 


  
 移行申請時の定款変更案と措置法40条1項後段の規定

 公益法人等に対する寄附に係る譲渡所得等の非課税特例では「定款等の定め」に注意
      

  いよいよ、12月1日から国の公益法人制度改革がスタートするが、現行の民法34条法人の中には、早朝に公益社団・財団法人へ移行すべく申請の準備を急いでいる法人も少なくないようだ。

 ところで、移行申請には、定款及び定款の変更案を提出する必要があるが、実務的には、定款の変更案に、認定法等で要求される事項のほか、公益法人等に対して寄附を行った場合の譲渡所得等の非課税特例(措法40@後段)を受けるために必要な記載事項も含めておくべきと言われているので確認しておきたい。

 また、この措置法40条1項後段の規定に関する定款の記載事項については、内閣府の公表している「移行認定のための「定款の変更の案」作成の案内」に具体例が示されており参考になる(同案内は、公益認定等委員会のホームページに掲載されている)。


 公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税特例では「定款」の記載事項が重要に


 個人が法人に対して財産を贈与・遺贈をした場合には、時価で譲渡があったものとして所得税が課されるのが原則であるが(所法59@一)、贈与・遺贈の相手方が、国・地方公共団体である場合には、非課税の特例が置かれている(措法40@前段)。

 また、相手方が、公益を目的とする事業を行う法人であって、一定の要件を満たす贈与・遺贈である場合にも、国税庁長官の承認を得て譲渡所得等が非課税とされることになっている(措法40@後段)。

 公益法人等がこの非課税特例を受けるためには、公益を目的とする事業を行う法人の運営組織が適正であることのほか、「定款」等に一定の定めを置くことが要件の一つとされており(措令25の17E)、公益・社団法人の運営組織が適正であるかどうかについては、一般社団・財団法人法及び公益認定法において定款の記載事項として定められている事項が、その法人の定款、寄附行為又は規則に定められているかどうかで判断することとされている。

 そして、その場合、特に以下の事項が定款の定めとして置かれていなければならないとされている(「租税特別措置法第40条第1項後段の規定による譲渡所得等の非課税の取扱いについて(法令解釈通達)」18(1)イ。

(イ) 措令第25条の17第6項第1号に定める親族その他特殊の関係がある者に関する規定及び同項第3号に定める残余財産の帰属に関する規定
(ロ) 贈与又は遺贈に係る財産が贈与又は遺贈をした者又はこれらの者の親族が法人税法第2条第15号に規定する役員となっている会社の株式の株式又は出資である場合には、その株式又は出資に係る議決権の行使に当たっては、あらかじめ理事会において理事総数(理事現在数)の3分の2i以上の承認を得ることを必要とすること



◆ 内閣府公表資料に示された定款の記載例


 他方、現行の社団法人・財団法人(民法34条法人)が新法施行後5年間の移行期間中に、公益社団法人・公益財団法人への移行を申請する際には、申請書のほか、「定款及び定款の変更の案」、「事業計画書、収支予算書、財産目録、貸借対照表その他の財務書類」、「役員の報酬支給の基準」等を合わせて提出する必要がある。
 そのため、実務上は、先に述べた措置法40条1項後段の規定を受ける場合に必要な定款の記載事項を「定款の変更の案」の段階で盛り込んでおくことが重要であると言われているところだ。

この点については、内閣府の公表している「移行認定のための「定款の変更の案」作成の案内」に、理事の構成等、残与財産の帰属、株主権行使に関する記載事項について、以下のような具体例が示されており参考となるだろう(同案内の注17が公益社団法人の場合、注19が公益財団法人の場合:以下では、注19の内容は省略した)。

@ 理事の構成等に関する記載例(上記通達(イ)の全段の規定に相当)

第○条 この法人の理事のうちには、理事のいずれか一人及びその親族その他特殊の関係がある者の合計数が、理事総数(現在数)の3分の1を超えて含まれることになってはならない。

2 この法人の監事には、この法人の理事(親族その他特殊の関係がある者を含む。)及びこの法人の使用人が含まれてはならない。また、各監事は、相互に親族その他特殊の関係があってはならない。
A 残余財産の帰属に関する記載例(上記通達(イ)の後段の規定に相当

第○条 この法人が清算をする場合において有する残余財産は、社員総会の決議を経て、国若しくは地方公共団体又は認定法第5条第17号に掲げる法人であって租税特別措置法40条1項に規定する公益法人等に該当する法人に贈与するものとする。
B 議決権行使に関する記載例(上記通達(ロ)の定めに相当
<例1>
第○条 この法人が保有する株式(出資)について、その株式(出資)の発行会社に対して株主等としての権利を行使する場合には、次の事項を除き、あらかじめ理事会において理事総数(理事現在数)の3分の2以上の承認を要する。
  (1)配当の受領
  (2)無償新株式
  (3)株主配当増資への応募
  (4)株主宛配布書類の受領
<例2>
第○条 この法人は、保有する株式(出資)について、その株式(出資)の発行会社に対して株主等としての権利を行使する場合には、次の事項を除き、権利の行使又は権利行使の請求をしてはならない。
  (1)〜(4)<例1>と同じ。

  なお、内閣府の公表した「移行認定のための「定款の変更の案」作成の案内」には、「本資料は、法人において、定款の変更の案を作成する際の参考に資するために作成したもので、法人税法等に適合しているか否かを直接判断するための基準ではない」旨が断り書きされているが、(作成の趣旨)、同案内に示された記載例であれば、措置法40条1項後段の規定に関する法令通達の定めを充足するものと考えて差し支えないようだ。






(以上参考;週刊「税務通信」第3042号)
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