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M&Aニュース

                                               2008年12月02
 


  
 政府税調 与党税調が本格的に相続税改正議論を開始

 検討がすすめられる遺産取得課税方式の概要も明らかに
      

  政府税制調査会、自民党税制調査会ともに、平成21年度の税制改正の議論をスタートさせているが、改正の目玉の一つとして取り上げられている相続税の税額計算の見直しの概要が明らかになってきた。
 11月18日の政府税調で示された資料では、「現行の相続税額の計算方式(法定相続分に応じ計算する方法)」、「取得分に応じ個別に計算する方式のイメージ」、「取得分に応じ個別に計算する方式の留意点」が示されており、各取得者の税額を、それぞれが実際に取得した財産の額に基づいて個別に計算する方式の特徴や、問題点が取り上げられている。
 また、主税局が日税連との意見交換会で示してきた資料に関しては、未分割に関連して、新しい整理がされている。
 このように、相続税の税額計算の見直しについては、その概要が明らかになる一方で、見直しを先送りするべきとの声も聞こえてきており、相続税の改正は予断を許さない状況になりつつある。


◆ 遺産取得課税のイメージと留意点を提示


 相続税の税額計算の見直しについては、検討作業を進めてきた主税局が日税連との意見交換会においてその方向性を示し、本誌でもその際に主税局が示した「相続税の課税方式の見直しに伴う主な法制的・実務的論点」を紹介してきたところだが、18日の政府税調で示された資料では、「取得分に応じ個別に計算する方式のイメージ」また、「取得分に応じ個別に計算する方式の留意点」が示された。
 それによると、遺産取得課税方式の特徴として
 

  • 自分の取得した財産のみから税額を計算・申告する簡素な方式であり、他の取得者の財産取得や税務申告の状況に左右されない。
  • 原則として、取得財産が同額であれば税額も同額となり、水平的公平を実現。
  • 取得者ごとに税額を計算するため、居住や事業の継続といった取得者の特性に着目し、その取得者に限り、負担軽減を行う特例措置の手当てが容易

 ということがあげられている。
 また、留意点としては、

  • 遺産の分割が終了するまで、各人の最終的な納税の要否や税額が確定しない。
  • 遺産総額が同じでも、分割のされ方により、相続税の総額が変動する。
  • 現行方式と比べると均等分割の場合よりも多く財産を取得する者の負担は大きくなる可能性。

 等が指摘されている。


◆未分割では3年後ごとに状況を提出


 一方、「未分割での申告」については、これまで示された内容に修正が加えられている。
 まず、「当初の申告期限」では、未分割財産の税額計算を、現行と同様に、法定相続分等に従って取得したものとして算出することに変わりはないものの、分割後の申告を促進する等の観点から、一定の加算を行う、とされていたものが削除されている。
 税額が生じない者であっても、未分割財産のすべてを取得したと仮定した場合に、税額が生じる者は納付税額をゼロとして申告を行うこととされている点はこれまでと変わりはない。
 次に「分割協議中」の項目については、申告義務者は、申告期限から3年を経過するごとに分割協議状況の届出を提出する義務があるものとする、とされている点がこれまでと異なっている。
 そして、「分割終了時(一部分割の終了時を含む)」では、

  • 分割に伴い税額が増額する者は、修正申告を行う必要があるものとする。
  • 分割に伴い税額が減少する者は、更正の請求ができるものとする。
  • 分割が行われたが税額が変わらない者は、分割の届出を行う必要があるものとする。

 の3つのかたちが示されている。
 また、分割により取得した財産等に基づく新たな算出税額が、当初の税額より増加する場合には、新たな算出税額に、当初の税額より増加した額に対して、当初の法定納期限から3年経過後から、分割が行われた日までの期間に応じて、一定の割合を乗じた額をあわせた額を、相続税額とする、とされている。
 相続税の税額計算の見直しに当たっては、その方向性が示されているものの、18日に行われた自民党税調の小委員会では、相続税も課税方式の変更を先送りにすべきとの議論もあったことから、今後の動向が注目される。






(以上参考;週刊「税務通信」第3043号)
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