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M&Aニュース

                                               2008年12月04
 


  
 ”適格合併=繰越欠損金引継ぎ可能”との誤認に注意

 適格合併を行った際における被合併法人の繰越欠損金の取扱い
      

  企業が合併を行う際、被合併法人の繰越欠損金額を合併法人へと引き継ぐこごができるか否かは、非常に大きな関心事といえよう。 
 組織再編税制では、被合併法人の繰越欠損金を合併法人へと引継ぎができるものは、共同事業等を行うことを目的とした適格合併に限られ、事業に関連性のない企業間でおこなわれた適格合併や非適格合併については対象外とされている。
 ところが実務上では、”適格合併=繰越欠損金の引継ぎ可能”と誤認し、法令上で規定されているみなし共同事業要件等を満たしていないにもかかわらず、被合併法人の繰越欠損金の全額を合併法人へ引き継いだケースが散見されるようだ。
 そこで今回は、適格合併を行った場合における”被合併法人”の繰越欠損金の取扱いについて確認する。


◆ 適格合併の場合、原則は欠損金の引継ぎ可能


 組織再編税制上、適格合併が行われた場合、被合併法人の適格合併の日前7年以内に開始した各事業年度において生じた欠損金額は、合併法人の各事業年度において生じた欠損金とみなすこととされている(法法57A)。
 しかし、@合併法人と被合併法人との間に50%を超える特定資本関係があり、かつ、Aその合併法人と非合併法人の特定資本関係が、合併事業年度開始の日から5年以内に生じている場合において、、B共同事業を行う目的とした合併に該当しないもの(みなし共同事業要件を満たさないもの)については、繰越欠損金のうち一部の金額を引き継ぐことができない、いわゆる引継ぎ制限が設けられている(法法57B)。
 これは、欠損会社を吸収合併することによって黒字会社の利益の圧縮を図るなど、繰越欠損金額の引継ぎを目的とした租税回避スキームを防止するためだ。


◆ みなし共同事業要件等を満たさない場合は一部制限


 みなし共同事業案件等を満たさない適格合併を行った場合の、被合併法人の欠損金のうち引継ぎ制限の対象となる繰越欠損金とは、「a.金額(図1)」や「b.特定資本関係事業年度以後の各事業年度で、保有していた含み損のる資産を譲渡したことにより生じた損失部分(図2)」だ。
 つまり、合併法人と非合併法人の特定資本関係事業年度以後の各事業年度において生じた被合併法人の欠損金のうち、特定資産等の譲渡等損失に相当する金額から成る部分の金額を除いた欠損金については合併法人へ引き継ぐことが認められるが、特定資本関係事業年度前に生じた欠損金については、切り捨てなれることとなるのだ。





 ◆ みなし共同事業要件の範囲とは



 なお、欠損金の引き継ぎ制限の判断基準となっている、「みなし共同事業要件」とは、下記のTUのいずれかの要件を満たすものとされている(法令112F)。

T. @〜Bをの要件を満たすもの

 @ 合併法人の主要な事業と合併法人の事業に関連性がある(事業関連性)

 A 被合併等事業と合併等事業に係るそれぞれの売上金額や従業者数、会社全体の資本金の額など、いずれかの事業規模の割    合が概ね1:5の範囲内である(規模要件)

 B 被合併事業・合併事業が、特定資本関係が生じた時から適格合併等の直前の時まで継続して営まれており、かつ、特定資本関   係が生じた時と適格合併等の直前における事業の規模割合が概ね2倍異常変動していない(事業継続要件)

U.  @Aを満たすもの

 @ 合併法人の主要な事業と合併法人の事業に関連性がある(事業関連性)
 
 A 被合併法人の特定役員(社長、副社長、代表取締役など法人の経営に従事している者)であるいずれかの者と合併法人等の特   定役員のいずれかの者が適格合併等後に合併法人等の特定役員となることが見込まれている(経営参画要件)





(以上参考;週刊「税務通信」第3043号)
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