2008年12月09日
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投資不動産等を時価開示へ
企業会計基準委員会(ASBJ)は11月28日、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」及びその適用指針を公表した。
同会計基準等では、B/S上で投資不動産に区分される不動産、将来の使用が見込まれていない遊休不動産、賃貸されている不動産等を「賃貸等不動産」と定義。これらについて、従来通り原価評価を行うものの、当期末における時価及びその算定方法等を注記することとしている。
適用は、平成22年3月31日以後終了する事業年度の年度末に係る財務諸表から。 ただし、当該事業年度以前の事業年度の期首から適用することも可能だ。
◆ IFRSが採用する時価評価は導入せず
現行では、投資不動産など固定資産に区分される不動産について、原価評価が行われている。一方、国際財務報告基準(IFRS)では、時価評価(時価で計上し、原価償却をしていない取得原価との差額を損益に計上)と原価評価の選択適用であり、原価評価する場合は時価等を注記する。今回j公表された会計基準等では、「賃貸等不動産」について、従来通り原価評価を行うものの、時価等を注記することとされている。
◆ 時価開示の対象は投資、遊休、賃貸不動産等
「賃貸等不動産」とは、賃貸収益またはキャピタル・ゲイン獲得を目的として保有する不動産のこと。ただし、@物品の製造や販売、サービスの提供、経営管理に使用されている不動産(自ら運営しているホテルやゴルフ場等を含む)、Aファイナンス・リース取引の貸手における不動産、B棚卸資産に分類される不動産は除く。
具体的には、以下の不動産が含まれる。
◆時価開示が必要となる「賃貸等不動産」◆ |
(1)B/S上で投資不動産に区分される不動産
(2)将来の使用が見込まれていない遊休不動産
(3)上記以外で賃貸されている不動産 |
このほか、「将来において賃貸等不動産として使用する予定で開発中の不動産」、「継続して賃貸等不動産として使用される予定で再開発中の不動産」、「賃貸不動産として保有しているが、一時的に借手がいない不動産」等も含まれる。
なお、前述@の用途で使用される部分と、賃貸等不動産として使用される部分で構成される部分を賃貸等不動産に含める。賃貸等不動産として使用される部分の割合が低いと考えられる場合は、賃貸等不動産に含めないことも可能だ。
◆ 当期末の時価及び算定方法等の注記が必要
賃貸等不動産を保有している場合は、賃貸等不動産の「概要」、「B/S計上額及び期中における主な変動」、「当期末の時価及びその算定方法」「損益」を注記しなければならない。ただし、賃貸等不動産の総額に重要性が乏しい場合には、注記を省略することができる。
賃貸等不動産の当期末の時価とは、観察可能な市場価格に基づく価額。市場価格が観察できない場合は、合理的に算定された価額をいう。合理的に算定された価額は、「不動産鑑定評価基準」(国土交通省)による方法または類似の方法に基づき、自社による合理的な見積りまたは不動産鑑定士による鑑定評価等として算定する。
(以上参考;週刊「経営財務」第2896号)
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