運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                        2008年12月10日                     
 


 来年4月創設の事業承継税制の詳細は税制改正大綱に
 自民党 相続税の遺産取得課税への変更な当面見送り
  政府税調 平成21年度税制改正の答申を提出
      

  政府税制調査会と自民党税制調査会は平成21年度税制改正の目玉として、相続税の税額計算の見直しについて検討を進めてきたが、自民党税調は当面の間、現行の法定相続分課税方式から遺産取得課税方式への変更を見送る方針を固めた。

  政府税調も11月28日、麻生太郎首相に提出した平成21年度の税制改正に関する答申で、相続税の税額計算の見直しについては「幅広い国民の合意を得ながら議論を進める必要がある」として、来年度税制改正で課税方式の変更は時期尚早との見方を示した。

  しかし、今年10月に施行さてた経営承継円滑化法に基づく事業承継税制については予定通り平成21年4月に創設され、その具体的な内容は今月中旬に取りまとめられる与党税制改正大綱で決まる運びだ。ただし、事業承継税制の導入に伴う非上場株式の納税猶予が認められる承継人以外の相続人に税負担の恩典が及ばないような措置が取られることになろう。

  このほか、政府税調がまとめた来年度税制改正答申では経済のグローバル化の進展を踏まえ、海外子会社からの配当を非課税とする制度の導入を提言。政府・与党が年末までに策定する税制の抜本改革の全体像を示す「中期プログラム」については、中長期的課題をまとめた平成20年度答申の提言を十分に反映するよう求めている。


党税調では課税方式の見送り論続出

  政府税調の総会に先立ち、自民党税調が11月27日に開いた正副会長・顧問らの会合では、来年度税制改正における遺産取得課税方式の変更について見送り論が相次いだ。
  基礎控除や税率の変更については党内の論議が固まる状況にないことを踏まえ、今月中旬にまとめる自民党税制改正大綱で課税方式の見送りを盛り込む見通しとなった。


平成20年度の政府税調答申を踏襲

  一方、政府税調は今年7月以来4か月ぶりに再開した11月14日から計4回、審議を行った。来年度税制改正の答申は、あるべき税制に係る中長期的な課題をまとめた「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」と題する平成20年度の答申を踏襲した形となった。
  答申は基本的な考え方として、景気対策については「やむを得ない」と容認したが、政府が10月末にまとめた生活対策については財政健全化の観点から減税を時限措置とするようにクギを刺し、成長力強化に資することも配慮するよう求めている。
  また、政府・与党が年末にまとめる個人と法人の所得課税、資産課税、消費課税の抜本改革の具体像を示す「中期プログラム」については、税制抜本改革の実施時期を明らかにするとともに、消費税を社会保障財源の中核と位置づけるなど中長期的な課題をまとめた平成20年度答申の提言内容を十分に反映するよう提言している。


業承継税制導入の対応は現行方式

  来年度税制改正の具体的な提言項目については、相続税、国際課税、固定資産税の3税目にとどまった。とりわけ、来年度税制改正で創設される予定の事業承継税制と、それに伴う相続税の税額計算の見直しが焦点となっていた。相続税の税額計算の見直しに関しては、これまで検討作業を進めてきた財務省主税局が日税連との意見交換会において、遺産取得課税方式のイメージや留意点について、その方向性を示されてきたところだ。
  政府税調は、新しい事業承継税制の導入に伴う相続税の課税方式の見直しを中心に議論したところ、答申において実際に取得した遺産額に応じて課税する遺産取得方式への変更の必要性を指摘するとともに、現行方式の維持を求める意見を両論併記した。これにより、答申は課税方式の見直しについて「課税の公平性や相続のあり方に関する国民の考え方とも関連する重要な問題であることから、幅広い国民の合意を得ながら議論を進める必要がある」を指摘するにとどめた。
  今年10月に施行された経営承継円滑化法に基づく事業承継税制の創設については「制度化される場合には、課税の公平性に十分配慮して、国民の理解を得ることのできる仕組みとすべき」とした。
  ただし、相続税額の計算の変更については「相続税の資産再配分機能の回復を求めた昨年の答申の考え方に沿って、今後、基礎控除や税率構造等を見直し、さらに議論を深めることが重要」と指摘しており、引き続き検討を進める考えも示した。


海外子会社の配当非課税は導入適当

  平成21年度税制改正では経済のグローバル化の進展を背景に、国際課税では、海外子会社からの配当について親会社の益金不算入とする制度を「導入することが適当である」と提言。日本国内へ還流する利益が設備投資や研究開発等に活用されることに期待している。また、租税回避行為を抑制する観点から、外国子会社合算税制や移転価格税制等の見直しを不断に検討する必要性を指摘。租税条約についても、二重課税の調整等を対応する役割から「引き続きネットワークの拡充に努める必要がある」とした。
  このほか、来年度税制改正では3年ごとに見直す固定資産税評価額についても言及。固定資産税の税負担のあり方については「これまでの負担調整措置を基本に、納税者の税負担にも配慮しつつ、負担の均衡化・適正化を促進する必要がある」とした。


注目される与党税調の税制改正論議

  政府税調の来年度税制改正の答申が提出されたことを受け、今後は平行して議論を進めている自民党税制調査会の議論が待たれる。
  自民党税調は相続税の課税方式の見送り方針を固めているが、12月中旬に取りまとめられる予定の与党税制改正大綱で、各省庁から今年8月末に提出された来年度税制改正要望や、10月末に策定された生活対策に盛り込まれた減税措置、そして各税目の抜本改革の全体像を示す中期プログラムの取扱いがどのような形で具体化するか注目される。


(以上参考;週刊「税務通信」第3045号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo