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M&Aニュース

                                               2008年12月16日             
 


   有価証券の時価評価


  先般、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した『債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い』では、本来的には認められていない“債券の保有目的の取得後変更”を特例的に可能とすることで、評価損の追加計上を避けることができるとしている。
  
ところで、債券の保有目的区分を取得後に変更することで、なぜ評価損の追加計上を回避できるのかと素朴な疑問を持つ向きもあるが、これは保有目的をどう区分するかにより、会計上、期末に時価評価を要する場合と、時価評価を要しない場合の二つに分かれることが根拠となる。
  というのも、金融商品会計基準では、例えば債券を取得した場合、その保有目的に応じて、売買目的有価証券、満期保有目的債券、子会社及び関連会社株式、その他有価証券に区分する必要があるとしているが、このうち、売買目的有価証券とその他有価証券については時価評価を行う必要があるが(同会計基準15、18等)、満期保有目的証券と子会社及び関連会社株式には時価評価を要しないとしているからだ(同会計基準16,17等)。
  これをベースに上記取扱いでは、保有目的変更が認められるパターンとして、@「その他有価証券→満期保有目的債券」、A「売買目的有価証券→満期保有目的債券」、B「売買目的有価証券→その他有価証券」の三つを盛り込んでいる。
  仮に上記@のように、「その他有価証券→満期保有目的債券」とした場合、その債券の時価が下落し続けても満期保有目的債券は時価評価を行う必要がないため、追加的な評価損の計上を避けることができる。自己資本比率を気にする金融機関にしてみれば、「その他有価証券」の区分で時価評価を行い評価損が生じると、結果的に自己資本比率を減少させてしまうが(原則、その他有価証券の評価損は純資産の部の数値を減少させる)、「満期保有目的債券」に区分変更すれば、そのリスクを回避できるわけだ。
  上記Aのように、「売買目的有価証券→満期保有目的債券」とすることもあるようだが、これは“債券”に含まれる社債や一部の証券化商品等をトレーディング目的で保有していた証券会社等が利用することが見込まれる。上記Bのように「売買目的有価証券→その他有価証券」とすることも可能だが、これを利用するケースは少ないものと見られる。


(以上参考;週刊「税務通信」第3045号)
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