運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                                  2008年12月22日             
 


    減損処理緩和は単なる評価損隠し
  アナリスト協 IASB/FASB円卓会議へのコメント公表    

 日本証券アナリスト協会は12月8日、「IASB/FASB円卓会議でのコメントについて」を公表した。協会員へのアンケート調査に基づくもので、IASB(国際会計基準審議会)への圧力を強めるECの姿勢を「不当な政治的介入」と批判するなど、会員の見解をまとめている。
 円卓会議は12月3日、金融危機を巡る会計基準対応をテーマに東京(企業会計基準委員会内)で開催された。アナリスト協からは金子誠ー理事が出席、「減損問題」や「公正価値測定」などでコメントしている。


基準設定主体への政治介入を批判

 円卓会議では、サブプライムローン問題がきっかけとなった現在の金融危機に絡み、会計上の問題や金融商品関連基準での取組みについてIASB側が関係者の見解を求めた。アナリスト協は、会議に先立って会員にアンケート調査を実施した。アンケートでは@一般論としての金融危機と会計基準、A有価証券の保有区分変更、B減損処理の緩和等、C時価会計の景気循環増幅性、などについて会員の回答を集計、それぞれ下記の結果を得ている。
@会計基準は足元の相場動向によって動かすべきでない 
54.5%
A恣意的な会計処理を可能にし、時価会計の後退になるので支持しない 52.0%
B単なる評価損隠しであり支持しない 61.3%
C規制当局が対応すべき 56.2%
 金子理事は、これらの結果を踏まえて意見を述べている。減損問題については「会計基準設定プロセスに対する不当な政治的介入」とする会員の批判を紹介し、アンケートで61.3%の回答が、ECがIASBに要求した減損処理緩和等を「単なる評価損隠しと見ている」と述べた。主なコメント内容は下表の通り。


減損について IFRSにおいて「その他有価証券」と「満期保有目的有価証券」に区分される債券の減損要件が同じで、減損の測定方法が異なるのを一貫性がないとの批判が一部にあるが、保有目的、証券の種類の相違によって要件や測定方法が異なるのは合理的。
公正価値オプション適用証券の保有目的変更 公正価値オプションは主としてALMのために用いられると理解している。資産サイドの時価が低下しても負債サイドの時価も低下するので、損益は相殺しあって中立。公正価値オプション適用資産の保有目的区分を変更し、時価評価の対象から除外する一方、時価の低下が自己資本の増加をもたらす負債サイドをそのままにするのは「いいとこ取り」。
Pro-cyclicalityについて 「時価会計及びこれをベースにした金融機関の自己資本規制は景気循環を増幅し、マクロ経済に悪影響を及ぼす」とされる問題に対しては、「規制当局が対応すべき」との回答が過半数超。「会計基準も一定の対応を考慮すべき」との答えを大きく上回った。
今後の会計基準設定について 現在の金融危機は100年に一度の津波といわれており、この過程で会計基準もいくつかの変更を受け入れることを余儀なくされた。今回の最大の教訓は、将来の会計基準は津波が来ても変更不要なように設計すべきということ。現在進行中の財務諸表の表示、収益認識等のプロジェクトについては慎重な検討が必要。

*日本証券アナリスト協会(IASB/FASB円卓会議でのコメントについて)から抜粋・要約



(以上参考;週刊「経営財務」第2898号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo