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                                                  2009年01月06日             
 


    平成21年度・与党税制改正大綱決定
   証券・住宅・中小企業減税で景気回復狙う(1) 
  

▲中小企業は軽減税率下げ・欠損金繰戻し還付復活

▲上場株式等の配当・譲渡益軽減税率は23年末まで延長

▲相続税課税方式見直しは見送りも事業承継税制は贈与税でも納税猶予


 12月12日、自民・公明両党は、平成21年度税制改正大綱を決定した。
 来年度税制改正では、金融危機を発端として世界経済が減速する状況の下、わが国においても景気後退が鮮明となっている中にあって、10月末に決定された「生活対策」を踏まえ、内需刺激策として減税を前面に打ち出した内容となった。
 具体的には、住宅ローン減税の延長・拡充を柱とした住宅・土地減税、期限切れを迎える上場株式等の配当・譲渡益に係る軽減税率の延長、上場株式等の譲渡益に対する新たな非課税制度の創設等による証券市場の下支えのほか、景気後退の影響が著しい中小企業対策として、法人税の軽減税率の引下げ、欠損金の繰戻し還付の復活等が盛り込まれている。
 また、昨年度からの懸案であった相続税制に関しては、既に政府税調の答申でも提言されていた課税方式の遺産取得課税方式への変更見送りが確実となった一方、事業承継税制に関しては、承継者が相続した非上場株式の相続税納税猶予に加えて、贈与税の納税猶予制度が手当てされることになった。
 なお、与党は、今回の大綱を基に、例年通り年明けの通常国会に改正法案を提出する考えだが、参院においては、現在も民主党が第一党であるいわゆる「ねじれ国会」の状況に変わりはなく、衆議院の解散時期を巡る野党の駆け引きもあることから、大綱に盛り込まれた改正事項が予定どおり実施されるかどうかは不透明な情勢だ。

【相続・贈与税関係】
 
 事業承継税制では生前贈与にも納税猶予制度を創設

 平成21年度税制改正での導入が注目された事業承継税制の創設と相続税の税額計算方式の見直し。既報のとおり、相続税法の抜本的な改正は見送られたが、事業承継税制として「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」の創設が決定された。
 これにより、非上場株式に係る相続税の軽減措置は現行の特定同族会社株式の10%評価減に代えて株式に係る課税価格の80%に対応する相続税額を納税猶予する特例に改められ、生前贈与を促進するため、あわせて贈与税についても納税猶予制度が設けられることになった。

 猶予税額計算方法の詳細が明らかに

 猶予税額の計算は、まず、現行の法定相続分方式により通常の税額計算を行って経営承継相続人以外の税額を算出、その相続人の取得財産を不変としたうえで、経営承継相続人が相続財産の株式の全部(100%)のみを相続するとした場合の相続税額と20%のみを相続するとして計算した相続税額との差額を猶予税額とする。
 この計算により、納税猶予の効果が生じるのは経営承継相続人だけになり、その後継者以外の相続人には納税猶予制度のメリットは及ばない仕組みとなっている。
 取得者課税への見直しが想定されていた当初の猶予税額の計算では、経営承継相続人は自分1人分の基礎控除額で計算とみられた。しかし、相続人数分の基礎控除額で計算をするため、株式の占めるウエイトによっては、その基礎控除額で20%だけを相続するとした場合の税額がゼロとなり猶予税額がないということもでてくるようだ。20%部分の相続税額が基礎控除額以下なら猶予税額計算による効果は生じないことになる。

 相続時精算課税、同族株式の評価減特例との関係

 特定同族会社株式を対象とした特定事業用資産の特例(措置法69条の5)は、平成21年3月31日で廃止されるが、同日までにこの10%減額特例を受けるために相続時精算課税を選択して贈与を受けた株式については、適用要件を満たしている場合には相続時に適用、後継者が平成22年3月31日までに納税猶予適用を選択した場合には10%減額特例に代えて納税猶予を適用するとされた。
 また、この納税猶予制度は平成20年10月1日以後の相続から、適用されることから、遺産分割などを考慮し、制度を適用するかの選択が必要となることもある。
 そのため、同日から改正法の施行予定日前である平成21年3月31日までの間の相続については、相続税申告書の提出期限が平成22年2月1日まで延長される。改正法の施行日の平成21年4月1日から最長10ケ月間延長されることになる。
                                                                    (つづく)
(以上参考;週刊「税務通信」第3047号)
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