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M&Aニュース

                                                  2009年01月14日             
 

      企業結合・無形資産の基準等を公表議決

 平成20年12月18日に開催された第168回企業会計基準委員会では、1.「企業結合に関する会計基準(案)」、「連結財務諸表に関する会計基準(案)」、「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正(案)」、「事業分離等に関する会計基準(案)」、「持分法に関する会計基準(案)」及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)」【公表議決】、2.改正企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準(案)及び同適用指針案【公表議決】、3.退職給付専門委員会における検討状況、4.特別目的会社専門委員会における検討状況、5.財務諸表表示専門委員会における検討状況、6.過年遡及修正専門委員会における検討状況、7.排出量取引の会計処理の検討についての審議が行われた。
  1.については、EUの同等性評価に対応するため検討が行われてきた企業結合及び無形資産に係る会計基準等の公表議決であり、その主な内容は、@持分プーリング法の廃止(会計基準のコンバージェンスの観点から持分プーリング法を廃止)、A株式を取得の対価とする場合の当該対価の時価の測定日(企業結合日における時価を基礎として算定)、B負ののれんの会計処理(当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理)、C少数株主持分の測定(部分時価評価法を廃止し、全面時価評価法のみとする)、D段階取得における会計処理(段階取得における被取得企業の取得原価の算定方法は、個別財務諸表においては、従来どおり支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって算定し、連結財務諸表では支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって算定)、E在外子会社株式の取得により生じたのれん(決算日の為替相場により換算)、F企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果(当該無形資産が識別可能なものであれば、原則として識別して資産計上)である。
 なお、この会計基準等の公表によって、我が国の一連のEU同等性評価対応はすべて完了し、2008年12月12日、欧州委員会により、日本の会計基準については、EUで採用されている国際会計基準と同等であり、2009年以降もEU域内市場において受け入れることが適当であるとの最終決定が行われている。
 2.にいては、年度の財務諸表についてマネジメント・アプローチに基づくセグメント情報の開示が求められるようになったことに伴う四半期財務諸表に関する会計基準等の改正である。
 公開草案からの大きな変更はなく、平成22年4月1日以後開始する年度の第1四半期から適用される。
 3.については、退職給付会計に係る論点整理の文案検討である。
 従来の論点整理と異なり、今後、我が国として退職給付会計に関する論点をどのように考え、会計基準のコンバージェンスをどのように図るかという観点に立つものであることから論点は多岐にわたっている。
 次回委員会での公表議決が予定されている。
 4.については、特別目的会社に係る論点整理の文案検討である。
 「連結財務諸表における特別目的会社の取扱い」及び「それに関する開示」をメインとし、それらの論点に関連するもとのとして、「他の企業に対する支配の定義」、「支配力基準の適用」、「連結対象となる企業」等を加え、国際的な会計基準における取扱い及びその動向を踏まえた改善の是非などを検討する。
 なお、基準諮問会議からの提言にあった「新たな自社株式保有スキーム」に関する検討もこの論点整理の中で取り扱われる。
 5.については、IASB公開草案「廃止事業(IFRS第5号の改定)」に関する概要の説明と、コメントの方向性についての説明が行われた。
 6.については、未適用の会計基準等に関する注記の取扱いと、誤謬の修正再表示が実務上不可能な場合の取扱いについての検討が行われた。
 検討状況の整理では、国際会計基準等と同様に、未適用の会計基準等がある場合には、新しい会計基準等の適用による影響に関する注記を求めることとされていたが、見積もりの困難性、実務上の負荷及び監査の実行可能性の問題等を理由に反対するコメントが多かった。これに対して、事務局ではIFRS及び米国の開示ルールの下での実際の注記事例を調査したが、基準等を最初に適用するときに企業の財務諸表に及ぼすと思われる影響についての注記は、「影響がないと考えられる」、「影響を及ぼす可能性がある」といって定性的な記載が行われているのみで、影響額の記載があるものは調査対象の中ではなかった。
 事務局では、それなりに情報価値はあるとの考えのもと、IFRS及び米国開示ルールにより開示されている内容と同等の開示が我が国においても行われるよう、規定を残す方向で文案検討が行われている。
 また、検討状況の整理では、誤謬の修正再表示が実務上不可能な場合の取扱いに係る規定を設けていた。何らかの形で基準に「実務上不可能な場合」を示すことを望む声が多いものの、監査実務における対応の困難さに対する懸念も示されており、委員の間でも意見が分かれている。
 これについては、「実務上不可能な場合」も会計基準において示すこととし、監査上の対応も考慮して、注記を充実するという案や、会計基準には記さずに結論の背景にその考え方を示す案が事務局で検討されている。
 7.にいては、新規検討案件のテーマ・アップである。                                                               
(以上参考;週刊「経営財務」第2900号)
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