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                                                  2009年01月19日             
 

    JICPA 販売用不動産に関する監査指針を改正へ
    
        正味売却価額を公表時の地価で算定可能

 日本公認会計士協会(JICPA)は平成20年12月24日、公開草案「監査委員会報告第69号『販売用不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い』の改正について」(以下、改正案)を公表した。改正は、棚卸資産の評価に関する会計基準に対応したもの。主に、販売用不動産等の正味売却価額が適切に算定されているか判断する際の指針が示されている。例えば、期末時点より前に公表された地価を使用して算定しても、監査上妥当と取扱うことができること等が明文化された。

 ▼正味売却価額を判断する際の留意点示す

 従来、棚卸資産の評価は、原価法と低価法の選択適用が認められてきた。また、原価法を採用する場合でも、時価が取得原価より著しく下落したときは、回復する見込があると認められる場合を除き、時価をもって貸借対照表価額としなければならない(強制評価減)。
 しかし、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(18年7月公表。21年3月期から適用)では、評価が「収益性低下に基づく薄価切下げ」に一本化されるため、強化評価減の適用はなくなる。このため、委員会報告の名称が『販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い』と変更され、同会計基準を踏まえた見直しが図られた。

 ▼販売見込額等が適切に見積もられたか留意

 販売用不動産等の正味売却価額は、「販売見込額ー販売経費等見込額」として算定される。改正案では、適切に算定されているか否かの判断に当たって、「当該不動産等の販売見込額や造成・建築工事原価今後発生見込額等が適切に見積もられていることを検討する必要がある」としている。「特に、土地については、その自然的、人為的特性のために適正価額を形成する市場がない。また、地域性という特性により、他の一般の資産と異なる価格特性が生じていることに留意する必要がある」とした。
 また、販売用不動産等の正味売却価額の算定においては、見積りや主観的な判断に依拠する場合が多い。このため、「販売用不動産等の正味売却価格の合理性の判断に当たっては、監査基準委員会報告書第13号『会計上の見積りの監査』に記述されている手続に従う必要がある。特に、開発計画及び販売計画において採用した仮定の適切性、その実現可能性並びに開発主体及び販売主体の実績などについて慎重に検討する必要がある」として、留意を促している。
 
 ▼地価で算定した正味売却価格は“監査上妥当”
 
 販売用不動産等についても、他の棚卸資産同様、原則として期末(四半期末)における正味売却価額を算定する必要があると考えられる。しかし、正味売却価額算定の基礎として使用される「地価」の公表は年間1回である。
 このため、改正案では、「当該地価の公表時に正味売却価額を算定し、それ以降期末までに、当該地価に重要な変動を及ぼす要因が認められないときは、公表時の地価を使用して期末における正味売却価額を算定していたとしても、監査上妥当なものとして取扱うことができるものとする」と明文化している。

                                                            
(以上参考;週刊「経営財務」第2901号)
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