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M&Aニュース

                                                  2009年01月20日             
 

       
         
 企業結合会計基準等を改正
    ASBJ 平成22年4月1日以後実施分から適用

 
企業会計基準委員会(ASBJは平成20年12月26日、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)など関連する6本の改正基準等を公表した。主にEUの同等性評価項目である持分プーリング法、負ののれんの会計処理方法などを見直した。平成22年4月1日以後実施される企業結合及び事業分離等から適用される(早期適用も可)。なお、これにより東京合意に基づく短期コンバージェンス項目は終了した。
 
 
●持分プーリング法は廃止

 持分プーリング法が廃止され、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合はパーチェス法により処理することとなる。持分プーリング法の廃止に伴い、取得企業の決定方法についても併せて改正している。
 また、市場価格のある取得企業等の株式が取得の対価として交付される場合、原則として、その企業結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定するものとされていたが、国際的な会計基準と同様に企業結合日(または事業分離日)における時価を基礎として算定することとした。

 ●「負ののれん」の償却処理は廃止


 「負ののれん」の償却処理を廃止した。負ののれんが生じると見込まれる場合には、次の処理を行う。
@ 取得企業は、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す。
A @の見直しを行っても、なお取得原価が受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を下回り、負ののれんが生じる場合には、当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する。

 ●「段階取得の会計処理」個別上は従来通り

 公開草案から大きな変更が加えられたのが、段階取得における会計処理である。産業界を中心に反対意見も多く、結果、個別上は従来方法を維持することとした。
 個別財務諸表では従来通り、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって算定するが、連結財務諸表では支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって算定する。当該被取得企業の取得原価と、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額(持分法適用関連会社と企業結合した場合には、持分法による評価額)との差額は、当期の段階取得に係る損益として処理する。

 ●「連結財務諸表会計基準」を新設

 企業結合会計基準の改正に伴い、「連結財務諸表に関する会計基準」が新設された。これは、「連結財務諸表原則」(企業会計審議会)をベースに連結財務諸表の会計処理及び開示方法を規定するもので、現行会計基準と整合のとれていなかった部分を整理するなどしている。また、同基準においては、連結損益計算書の表示区分について、当期純利益の前に「少数株主損益調整前当期純利益」を新たに追加した。

主な改正項目 改正前 改正後
@持分プーリング法の取扱い 企業結合の経済的実態に応じ、持分プーリング法とパーチェス法を適用する。 持分プーリング法を廃止。
持分プーリング法の廃止に伴い、「取得企業の決定が困難な場合の取扱い」および「逆取得又は共同支配企業の形成に係る会計処理」を規定。
A株式を取得の対価とする場合の当該対価の時価の測定日
企業結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定する。 企業結合日における時価を基礎として算定する。
B負ののれんの会計処理 原則として、20年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却する。 当該負ののれんが生じた事業年度の利益として処理する。
C少数株主持分の測定 子会社の資産及び負債の評価方法として、全面時価評価法と部分時価評価法の2つが認められている。 部分時価評価法を廃止し、全面時価評価法のみとする。
D段階取得における会計処理 ある企業の支配を段階的に取得した場合の当該企業の取得原価は、過去から取得している株式の累積原価による。 【個別財務諸表】支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって算定する。
【連結財務諸表】支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって算定する。
E在外子会社の取得により生じたのれん 発生時の為替相場で換算する。 決算日の為替相場により換算する。
F企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果 取得の対価の一部を研究開発費等に配分した場合には、当該金額を配分時に費用処理する。 当該無形資産が識別可能なものであれば、原則として識別して資産計上する。

公表基準名 適用時期
企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)
「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第23号)
「事業分離等に関する会計基準」(改正企業会計基準第7号)
「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(改正企業会計基準適用指針第10号)
平成22年4月1日以後実施される企業結合及び事業分離等から適用する。
【早期適用】平成21年4月1日以後開始する事業年度において最初に実施される企業結合及び事業分離等から適用することができる。
なお、早期適用時には、下記基準も含めたすべてを一斉に適用しなければならない。
「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号) 平成22年4月1日以後実施される企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項から適用し、その他連結財務諸表に係る事項については、平成22年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用する。
【早期適用】平成21年4月1日以後開始する連結会計年度において最初に実施される企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項から適用し、その他連結財務諸表に係る事項については、平成21年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用することができる。
「持分法に関する会計基準」(改正企業会計基準第16号) 平成22年4月1日以後実施される非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理から適用する。
【早期適用】平成21年4月1日以後開始する連結会計年度において最初に実施される非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理から適用することができる。



                                                            
(以上参考;週刊「経営財務」第2901号)
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