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M&Aニュース

                                               2009年1月27
 


  
 上場株式等の損益通算は平成21年分から実施


 金融証券税制 20年度税制改正で対応
      

  このほど公表された平成21年度税制改正大綱で、上場株式等の譲渡所得と配当所得の軽減税率(所得税7%、住民税3%)を3年延長する措置が講じられた。これにより、平成21年分から500万円超の譲渡所得、100万円超の配当所得がある場合は本則の20%の税率に戻す措置は廃止され、軽減税率が維持される見通しだ。
 一方、平成21年分からの変更点として、上場株式等の譲渡損失と配当所得との損益通算が可能になる。金融所得課税の一体化に向けて、新たに譲渡損失と配当所得の損益通算ができる点は、基本的に平成20年度税制改正で必要な措置を講じている。

上場株式等の譲渡所得と配当所得の税率

区分 〜平成20年12月31日 平成21年1月1日〜
平成23年12月31日
平成24年1月1日〜
譲渡所得 10% 10% 20%
配当所得 10% 10% 20%

 
◆ 譲渡所得、配当所得とも軽減税率を延長


 そもそも1年前の平成20年度税制改正では、上場株式等(公募株式投資信託を含む)に係る譲渡所得の軽減税率は平成20年12月31日で、配当所得の軽減税率も3ヶ月前倒した平成20年12月31日でそれぞれ廃止し、原則として本則の20%(所得税15%、住民税5%)に戻る予定だった。ただ、500万円以下の譲渡所得、100万円以下の配当所得は、10%の軽減税率を平成22年12月31日までの2年延長する特例を設けた。
 ところが、昨年10月末の「生活対策」を踏まえた平成21年度税制改正に伴い、譲渡所得と配当所得の軽減税率が平成23年12月31日まで3年延長された。このため、平成21年分から平成23年分の上場株式等の譲渡所得、配当所得については現行通り、10%の軽減税率が継続されることになった。


◆ 譲渡損失と配当所得の損益通算可能


 一方、上場株式等に係る譲渡所得と配当所得の損益通算は、平成20年度税制改正で措置された通り平成21年分から限度額を設けずに導入される。上場株式等の譲渡により生じた損失は配当金や分配金と損益通算できるようになる。これまでも上場株式等の譲渡損失が生じた場合、翌年以後3年間の上場株式等に係る譲渡所得の金額から繰越控除できるが、損益通算の範囲が配当所得まで広がったといえる。
 手続き面でみると、平成21年分の配当金や分配金などの配当所得については申告分離課税を選択できる制度が創設され、上場株式等の譲渡損失との損益通算が可能となる。平成22年分以降については源泉徴収口座で配当所得を受け入れれば、源泉徴収口座内で損益通算が可能になる予定なので確定申告を行わずに済む。なお、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得については配当控除が適用されない。
 一方、上場株式等の配当に係る配当所得について、総合課税の適用を受ける場合は、その年に配当を受ける他の配当所得について申告分離課税を選択できない。
 上場株式等に係る譲渡所得と配当所得の軽減税率の期限が切れ、本則の20%税率が実現する平成24年以降、少額の上場株式投資等の非課税措置が創設される予定で、金融所得課税の一体化の流れが進む見通しだ。



(以上参考;週刊「税務通信」第3050号)
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