2009年1月29日
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再編後に受取配当がある場合は関係法人株式等の判定に注意
非適格再編の際、株式保有期間を誤認するケースが散見
法人が他の法人から配当等を受けた場合、法人税法上では、連結法人株式等と関係法人株式等、連結法人株式等及び関係法人株式等のいずれにも該当しない株式等(以下「その他株式等」という)に区分し、それぞれの受取配当等の益金不算入額を計算しなければならないとされている。
このうち、株式が関係法人株式等に該当するかどうかは、@発行済株式等の総数の25%以上を、A配当等の額の支払いに係る効力が生じる日以前6ヶ月以上引き続き有しているか、により判断することとなるが、実務上では、組織再編により移転された株式等が関係法人株式等に該当するか判断をする際、Aの保有期間の算定を誤るケースが散見されるようだ。具体的には、非適格再編により移転された株式の保有期間について、被合併法人等が保有していた期間についても合併法人等の保有期間とみなすケースがみられる。
そこで今回は、受取配当等の益金不算入の金額の計算をする際に重要となる、関係法人株式等の株式保有期間の要件について確認する。
◆ 関係法人株式等に係る配当等は全額益金不算入
周知のとおり、配当等が支払われた場合、受け取った者が個人であれば配当金額に対して課税が行われるが、法人が受けた場合には、配当等の一部又は全部について益金に参入しないこととされている。これは、配当を支払う段階で法人税が課税されており、受け取った法人の段階で再び課税すると二重課税となってしまうためだ。
法人税法上、益金不算入となる金額は、連結法人等からの配当等と関係法人株式等からの配当等、その他株式等からの配当等に区分してそれぞれ計算することとされており、具体的には下記のとおりとなっている。
■ 連結法人株式等
受取配当等の額=益金不算入額
■ 関係法人株式等
受取配当等の額−負債の利子の額※1=益金不算入額
■ その他の株式等
(受取配当等の額−負債の利子の額※2)×50%=益金不算入額
※ 負債の利子の額
1.その事業年度において支払う負債の利子の額のうち関係法人株式等に係る部分の金額
2.その事業年度において支払う負債の利子の額のうちその他の株式等に係る部分の金額
◆ 適格再編か否かにより、株式の保有期間の判断が異なる点に注意
上記の計算を行う際における「関係法人株式等」とは、@他の内国法人の発行済株式等の総数の25%以上に相当する額の株式を、A配当等の額の支払に係る効力が生じる日以前6ヶ月以上引き続き有しているもの、とされている(法令22の2@一)。
実務上では、組織再編により移転された株式について配当等を受けた際、Aの保有期間の判断を誤るケースが散見されるようだ。というのも、再編の形態が税制上の適格再編か非適格再編がによって、被合併法人等が保有していた期間を合併法人が保有していた期間とみなすのか取り扱いが異なるためだ(法令22の2のA)。
具体的には、適格合併の場合、被合併法人が従前から保有していた株式等の保有期間=合併法人の保有期間とみなされるため、被合併法人が株式等を取得した日から合併法人に対して配当等が行われた日までが保有していた期間となる。
一方で、非適格合併の場合には、非合併法人が保有していた株式等は、合併時に合併法人等が新たに取得したものと取り扱われるため、合併が行われた日から合併法人等に対して配当等が行われた日までが保有していた期間となるので、くれぐれも注意が必要だ。
なお、この取り扱いは、適格合併に限らず適格分割、適格現物出資や適格事後設立等が行われた場合においても同様に取り扱われることとなるので、こちらの点も留意されたい。
(以上参考;週刊「税務通信」第3050号)
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