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M&Aニュース

                                               2009年2月24日
 



  優良事業分離時の資産移転 登免税・不取税の軽減措置も

 経産省 中小企業の事業再生支援強化策を国会に提出
          

  経済産業省は2月3日、産業活力再生特別措置法の改正法案(『我が国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案』)を通常国会に提出した。同法案では、「中小企業の事業再生支援の強化」、「資源生産性の向上」等を目的とした施策を盛り込んでいる。
 「中小企業の事業再生支援の強化」では、優良事業を受皿会社へ分離して事業再生を図るスキームを支援するとしているが、同スキームに則った場合、受皿会社に"営業上の許認可”も自動的に引き継がれることとなる予定だ。また、事業分離によって資産が移転する際に生じる不動産取得税、登録免許税についても軽減措置が導入される見込みだ。
 今年の4月頃の公布、7月頃の施行を目標としているが、現在の”ねじれ国会”における審議状況によっては、公布・施行が遅れる可能性もあると関係者は見ている。
なお、法律、政令、省令は同日施行される予定だが、さらなる詳細は同日に公表される適用指針で示される見込みだ。また、産業活力再生特別措置法は、同法案において「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に名称変更されている。


◆優良事業を分離する”第二会社方式”で再生を円滑化


 同法案における「中小企業の事業再生支援の強化」の項目では、”第二会社方式”による事業再生の円滑化を目的として、各種施策を盛り込んでいる。”第二会社方式”とは、赤字に苦しむ中小企業の優良事業を本体から分離して、これを受皿会社(第二会社)に移すとともに、本体に残った赤字部門を清算等する仕組み。分離する際には、事業譲渡又は会社分割のいずれかを採用する。
 金融機関が赤字会社に対して債券放棄する場合、税務上は厳しい要件をクリアしなければ債券の評価損益を計上できないが、第二会社方式の場合は、優良事業分離後の赤字部門を清算等すれば回収不能となる債権額が確定するため損益計上しやすくなり、事業再生時のハードルの一つである”金融機関の同意”を得やすくなるとされる。


◆営業上の許認可 優良事業分離時に受皿会社へ承継可能に


 また、優良事業を受皿会社へ分離できても、受皿会社は新設会社であることが多いため、営業上の許認可を再取得しなければ事業を再開できないといった問題が生じることがあるが、この点を解消するために第二会社方式では、一定の手続きを経れば、許認可も承継できるとする予定だ。
 現行では、例えば酒類販売のためには酒税法上の許認可を、建設業の営業のためには建設業法上の許認可を、旅館業の営業のために旅館業法上の許認可等をそれぞれ得る必要があるが、”第二会社方式”を利用すれば、その許認可を自動的に承継できることになる。
 詳細は政令で規定するが、営業上の許認可を要する業種は多岐に渡るため、あらゆる業種に係る許認可を網羅するのではなく、中小企業再生支援議会等に持ち込まれる案件のうち、特に多い業種などをみて決定する方向だとしている。


◆不動産取得税・登録免許税の軽減措置も


 そのほか、優良事業分離によって不動産等を受皿会社へ移転する際には、受皿会社が不動産等を取得したことにより、不動産取得税や登録免許税が発生するが、これを軽減する措置も盛り込んでいる。
 具体的には、不動産取得税の場合、現行では土地に不動産価額の3%・建物に4%の課税関係が生じるが、これを各2.5%・3.3%へと軽減、登録免許税の場合、会社分割であれば現行では不動産価額の0.8%を課税するが、これを0.4%に軽減、事業譲渡であれば現行では建物に2%の課税関係が生じるが、これを1.6%へと軽減する予定だとしている。


◆適用要件 中小企業基本法上の中小企業であることが前提


 この第二会社方式の適用対象者は、中小企業基本法上の中小企業者であることが前提となる(中小企業基本法2)。製造業、建設業、運輸業であれば資本金3億円以下または従業員数300人以下の会社が、卸売業であれば資本金1億円以下または従業員数100人以下の会社が、サービス業であれば資本金5,000万円以下または従業員数100人以下の会社などが該当する。


◆再生支援協議会スキームの利用も認定適用要件の一つに


 これらの企業のうち、有利子負債キャッシュフロー比率が20%超であるなど「過大な債務を負っている」ことが明らかな中小企業は、「中小企業承継事業再生計画」を策定し、一定の手続きの下、計画の適正性について認可を要することとなる。
 同計画には、@中小企業再生支援協議会、私的整理ガイドライン、RCC企業再生スキーム、事業再生ADR、地域力再生機構等の手による適正なプロセスを経て金融機関の同意を得ている点、A事業分離の際に雇用が80%以上継続される点、B取引先の売掛債権を保全する点などを盛り込む必要があること。


◆計画書の提出先 各業種の管轄省庁となる点に注意


 同計画の提出先は各業種の管轄省庁となる。つまり、酒類販売業者であれば各地域の税務当局に、建設業者であれば国土交通省に、旅館業者であれば厚生労働省に、産業廃棄物処理業者であれば環境省に、それぞれ関係書類を提出することとなる予定だ。






(以上参考;週刊「税務通信」第3053号)
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