2009年2月26日
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連続した吸収合併が行われた場合、合併ごとに適格判定
国税庁 経済産業省の照会に対し文書回答
事業活動の効率化や強化等を図る目的で、他の法人を吸収合併するケースが近年多くみられる。吸収合併を行った企業のなかには、同日内に複数法人と合併したものもみられるところだ。
ところで実務上においては、複数の法人を被合併法人とする吸収合併(以下、三社合併)を行った場合、組織再編税制上の適格判定は、合併ごとに行うのか、それも全ての合併を一体として判定を行うこととなるのか、その判定単位を巡った疑義が生じていた。この点について国税庁はこのほど、経済産業省からの照会に対する文書回答という形で、三社合併を行った場合は、たとえそれらの合併ごとに適格判定を行って問題ないとの見解を初めて明らかにしている。
◆実務上では合併全体で適格・非適格を判断と考える向きも
組織再編を行った場合、その再編が税制上の適格再編に該当するか否かの判定は、非常に重要だ。というのも、適格再編の場合は、移転資産について簿価で引き継がれるとともに、繰越欠損金等についても引き継ぎが行われる一方で、非適格再編である場合には、移転資産を時価で譲渡したものと扱われるとともに、繰越欠損金等の引き継ぎを行うことができない、といった違いがあるためだ。
実務上においては、複数の法人を被合併法人とする三社合併を行った場合、その適格判定は合併全体で行うべきであるとし、複数の合併のうち一つでも非適格合併があれば、他の合併についても非適格合併に該当すると考える向きも一部でみられていた。
例えば、合併法人A社がB社とC社を吸収合併した場合、A社とB社の間の合併が適格再編に該当した場合であっても、A社とC社の合併が非適格に該当するのであれば、A社とB社の合併についても非適格合併となると判断する向きもあったようだ。
◆会社法上、「吸収合併の当事者は存続法人と消滅法人の2社」
、ところが、今回の文書回答では「複数の法人を被合併法人とする吸収合併が行われた場合、個々の合併ごとに適格判定を行う」ことが明確化されている。
これは、現行の会社法の規定で、吸収合併とは「会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続法人に承継されるものをいう(会社法2条二七)」と定義されており、吸収合併を行った場合の当事者は、合併後存続する会社と合併により消滅する会社の2社であるといえるためだ。
したがって、合併法人A社が非合併法人B社を吸収合併(適格合併)した直後に、被合併法人C社を合併(非適格合併)した場合には、全体が非適格合併とはならず、B社を吸収合併した後のA社とC社との合併の部分が非適格合併となる。
(以上参考;週刊「税務通信」第3053号)
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