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M&Aニュース

                                               2009年2月27日
 



  自己株式の取得と地方税の申告で再確認

 法人住民税・事業税では「資本金等の額」が税額に直接影響する場合も
          

  サブプライム問題を端緒とした金融危機とそれに伴う株式市場の低迷を受け、昨年10月から政府が自己株式取得に係る市場規制を緩和していることもあって、上場企業が市場を通じて自己株式を取得するケースが目立っている。
 自己株式の取得に関しては、平成18年度の税制改正において、取得時に、取得価額を直接、「資本金等の額」から減額することとされたが、「資本金等の額」の異動は、地方税の法人住民税、法人事業税資本割にも影響を与える。
 この点、地方税について、資本金等の額の異動を失念したことが原因と考えられる申告誤りも散見されているので、改めて留意したい。


◆自己株式の帳簿価額は取得時に「資本金等の額」から直接減額


 平成18年度の法人税関係法令の改正後、法人が自己株式を取得した場合、取得時に株主に対して交付した金銭等は、その金額のうち、取得資本金額について、直接、資本金等の額から減額し、取得資本金額を超える部分の金額については、みなし配当として、利益積立金額を減少することとされている(法令9@十、8@二十)。
 また、証券取引所の開設する市場を通じて自己株式を取得した場合には、みなし配当は生じず(法法24@四、法令23B)、取得価額の全額を資本金等の額から減額することとされている。
 つまり、法人税法上は、自己株式の取得時にあたかも自己株式を消却したかのような処理を行うことになるが、資本等取引であることから、自己株式を取得した事業年度の所得、法人税額には影響を与えない。


◆期末時点の「資本金等の額」によって税額が異なる法人住民税均等割・法人事業税資本割


 一方、地方税においては、法人税法上の「資本金等の額」(法法2十六)は、法人住民税の均等割、及び法人事業税の資本割(外形標準課税)に影響を与える。
 周知のことではあるが、法人住民税均等割は、資本均等の額を有する法人については、市町村税、道府県民税とも、その資本金等の額の区分に応じて、納めるべき税額が異なっており、さらに市町村民税は、市町村内の事務所の従業者数に応じて税額が異なっている(地法52@、312@)。
 例えば、資本金等の額が50億円超の場合の市町村民税の標準税率は、従業者数50人以下の事業所等の場合で410,000円、従業員数50人超の事業所等の場合で、3,000,000円となっている。
 また、法人事業税の資本割の課税標準については、事業年度末現在の法人税法に規定する資本金等の額又は連結個別資本金等の額とされており(地法72の21@、法法2十六、十七の二)、資本金等の額が1,000億円を超える大規模法人については、資本金等の額の区分に応じた率を乗じて算定することとされている(地法72の21C:資本金等の額が1兆円を超える場合は、1兆円として計算)。
 さらに、法人住民税について不均一課税を実施している市町村や、法人事業税について、超過課税を実施している自治体では、「資本金等の額」や「資本金」による区分で税率に差を設けている場合もある。
 このように、地方税においては、「資本金等の額」が税額に直接結びついているものもあり、地方税当局の調査によって、申告誤りを指摘されるケースもみられるので、期中に自己株式を取得した場合に限らず、期末時点での法人税法上の「資本金等の額」には、改めて注意したい。
 なお、言うまでもないことではあるが、法人事業税について、外形標準課税の対象となるのは、「資本金1億円超」の法人であり、「資本金等の額1億円超」ではないので、念のため留意したい。





(以上参考;週刊「税務通信」第3053号)
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