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M&Aニュース

                                               2009年3月19日
 



  21年度改正 企業再生時の仮装経理法人税額の
  還付請求を認める

  併せて控除期間が到来した場合等の控除未済額還付を明確化
   

  

  現在、国会審議中の平成21年度税制改正法案には、「仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除」について、@会社更生法の更正手続き開始があった場合等、一定の場合に仮装経理法人税額の還付請求を可能とする、A同制度を適用して、5年の控除期間を経過した場合や、控除期間中に法人が解散した場合等に、未だ控除していない仮装経理法人税額を還付する規定が盛り込まれている(法法70、134の2:施行は平成21年4月1日以後にされる更正に基づく仮装経理法人税額から(改正法案附則L)。
 法案では、現行規定が大幅に変更されているのが目を引くが、@は、企業再生を税制面から支援するために仮装経理法人税額の還付について特例を新設するものであり、Aは、仮装経理法人税額が還付されるケースを法律上、明確化するのが趣旨であって、現行の制度そのものを大きく見直す趣旨ではない。


更正手続き・民事再生手続き開始の場合に仮装経理法人税額を還付する規定を新設


 「仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除」は、法人が、仮装経理によって本来よりも多く所得を申告した場合、すなわち粉飾決算を行った場合、、税務署長が減額更正したことで過納となった法人税額については、還付しないで、更正の日の属する事業年度開始の日から5年以内に開始する各事業年度の法人税額から順次控除するというもの。
 周知のとおり、実務上は、同制度の適用を受ける場合、法人が粉飾決算について、修正の経理をし、かつ、確定申告諸の再提出を行うことが要求されている(法法129A)。
 仮想経理による過納法人税額の還付を行わないのは、粉飾決算を行った法人に対するペナルティの趣旨であると言われているが、実際には、粉飾を行った企業が、その後において破綻する例もすくなくないようだ。
 破綻ともなれば、会社更生法の適用を受けるなどして再建を目指すことになるが、再建途上の企業に資金繰りの余裕があるはずもなく、また、一方で債権放棄を要請される債権者がいることを考慮すれば、仮装経理法人税額が還付されないと企業再建の障害になりかねない。
 そこで、平成21年度税制改正では、会社更正法の規定による更正手続き開始の決定があった場合等、一定の企業再生の場面では仮装経理法人税額の還付の請求ができるよう、特例が設けられることとなった(法法(案)134の2C)。
 還付の請求を行うには、仮装経理法人税額、その計算の基礎その他財務省令で定める事項を記載した還付請求書を所轄税務署長へ提出しなければならないとされ(法法(案)134の2E)、請求を受けた税務署長は、請求に係る事実その他を調査した上で、仮装経理法人税額を還付するか、又は請求の理由がない旨を通知することとされている(法法(案)134の2F)。


◆控除期間満了・法人の解散時等の仮装経理法人税額還付を条文上で明確化


 一方、今回の改正では、法人税額から5年間にわたって法人税額を控除した残りの部分等について、還付を行う旨の規定も新設されている(法法(案)134の2C)。
 具体的には、@同制度に係る更正の日の属する事業年度開始の日から5年を経過する日の属する事業年度の申告期限が到来した場合のほか、A法人が解散した場合、B連結納税の承認を受けた場合、C連結納税の承認の取消しを受けた場合、Dやむを得ない事情がある場合の連結納税の取り止めがあった場合、には、控除されていない仮装経理法人税額を還付することとしている。
 この点、法人税額の過納分を有している場合、それが仮装経理による過大申告に基づくものであったとしても、納税者には還付請求権があるのであり、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除制度では、法律の定めによって、その後の法人税額から控除(=相殺)することでその還付を停止する状況を作り出しているともいえる。
 したがって、現行制度の下でも、5年の控除期間を経過して控除しきれない仮装経理法人税額がある場合等には、その金額は、当然、還付されるのであって、今回の改正法案の規定は、そのことを条文上で明らかとしたものに過ぎないとのことだ。
 改正法案では、これらの改正事項を盛り込むに当たって、現行法の第70条及び第134条の2について、それぞれ相互に規定の入れ替えが行われていることから、大幅な改正にも見えるが、前述の企業再生支援の規定を除けば、明確化を図る趣旨の改正であって制度の基本的な建て付けは、変更されないので、確認しておきたい。





(以上参考;週刊「税務通信」第3058号)
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