運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2009年3月23日
 



  海外子会社留保金の繰延税金負債 
  取崩しは改正税法公布日で判断

  外国源泉税や益金算入する5%対応分などは今後も取崩さず
   

  

  平成21年度税制改正では、一定の要件の下、日本の親会社が海外子会社から配当を受ける場合には、その配当の5%分を益金算入、残りの95%分を益金不算入とする「海外子会社からの配当の益金不算入制度」を新設する予定だが、同改正に伴い、今後は国内外の税率差による繰延税金負債の計上義務がなくなることを受け、改正税法が実現した場合には配当を行うか否かに関わらず、連結決算上、一定の繰延税金負債を取崩して利益計上しなければならなくなる。
 ところで、この繰延税金負債の取崩しは、改正税法の”公布日”が属する期で行うこととなる見込みだ。仮に、3月決算法人の場合、改正税法が3月31日までに公布されたのであれば、21年3月期に一定の繰延税金負債を取崩して利益計上するが、何らかの事情により公布日が4月1日以降にずれ込んだならば、22年3月期において取崩し益を計上するということだ。現在の”ねじれ国会”における審議状況によっては、公布日が4月以降となる可能性もあるので、税制改正の行方には留意が必要だ。


◆改正税法”公布日”の属する期で取崩しに


 上記のような考え方となる背景には、今回の繰延税金負債の取崩しが、『個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針』において「税効果会計上で適用する税率は決算日現在における税法規定に基づく税率による。したがって、改正税法が当該決算日までに公布されており、将来の適用税率が確定している場合は改正後の税率を適用する。」としている規定と同様の考え方に基づいて行うこととなる可能性があるからだ(同指針18)。


◆外国源泉税や益金算入する5%対応分等は今後も取崩さず


 また、繰越税金負債を取崩すとしても、その際には、海外子会社からの配当に対応する繰延税金負債を丸々取崩して利益計上するわけではないので、この点にも注意が必要だ。
 というのも、@間接外国税額控除制度の廃止により、海外子会社からの配当に課される外国源泉税は損金不算入となるため、これに対応する分の繰越税金負債を計上しなければならない上に、A先述したように、21年度税制改正後も海外子会社からの配当の5%分は益金算入されるので、これに対応する繰延税金負債は今後も計上し続けなければならないからだ。





(以上参考;週刊「税務通信」第3058号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo