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M&Aニュース

                                               2009年3月27日
 



  企業再生税制 貸付金等の債権も評価損計上の対象に 
  
   中小規模の企業再生・三セク再生も視野に21年度改正で拡充策
     

  
  最近の急激な経済状況の悪化によって債務超過に陥る企業が増加する中、平成21年度税制改正に「企業再生税制」の拡充策が盛り込まれたことから期待する向きが多いようだ。
 改正では、@資産の評価損の計上対象に「債権」を含める、A企業再生時の仮装経理法人税額の還付を認める、ほか、B資産の評価損益の計上及び期限切れ欠損金の優先控除の対象となる「合理的債務処理計画」の要件の一部緩和、C中小規模再生特例の創設、等が予定されている。


◆会社更正法等による資産の評価換えで「債権」も直接評価損の計上が可能に


 会社更生法、民事再生法等によって、企業再建を行う場合には、その会社の資産の状況を確定するために評価換え(時価評価)を行うことになる。
 そのため、企業再生税制では、これらの資産評定による評価損益について、評価替えを行った事業年度の益金又は損金に算入することとしているが、現行法では、資産の評価損の計上対象から貸付金等の「債権」が除かれている(現行法法33A)。
 これは、債権については、貸倒引当金の計上が認められているというのがその理由であるが、実際の企業再生の現場では、貸倒引当金の計上による間接的な評価減では、毀損した貸付金や売掛金等について、十分に評価損を計上することが困難であったことから、実務家サイドから改正要望が出ていた。
 この点、平成21年度税制改正では、企業再生に係る資産の評価損の計上対象から「債権」を除く旨の現行規定を見直すこととしており(法法(案)33B)、改正は、資産評定の対象となる他の資産と同様に、帳簿価額を直接減額することが認められていることから、再生実務に与える影響は大きいと言われている。


◆税制措置の対象とされる「私的整理」の要件緩和・中小規模再生の特例も


  また、企業再生税制では、「法的整理に準ずる私的整理」についても、一定の要件の下、評価損益の計上と期限切れ欠損金の活用を認めているが、来年度改正では、その要件の一部緩和が予定されている。
 具体的には、現行政令で、合理的な債務処理計画において、「二以上の金融機関等が債務免除することが定められていること」とされている要件について、@)いわゆる第三セクターの再生を進めやすくするために一方の債務免除者について、地方公共団体を加える。A)債権者側で直接の債権放棄をすることが難しい場面での企業再生を進めやすくするために、DES(債務の株式化)を行った場合にも実際に債務免除が行われた場合と同様の取扱いとする。B)中小規模の企業再生を促進するためにいわゆる専門家関与要件について、現行最低3名とされている点を2名とする(現行法令24の2、法規8の5関係)。
 他方、中小規模の企業再生に関しては、現行制度で、評価損益の計上対象資産に係る評価差額の最低限度を1,000万円としている点について(現行法令24の2)、新たに、有利子負債の額が10億円未満の中小企業を100万円とするとする特例を創設することとしている。
 なお、「法的整理に準ずる私的整理」については、債務処理計画が「一般に公表された債務処理を行うための手続きについての準則に従って策定されていること」という要件が課されており(現行法令24の2@一)、現行制度では、実際の再生スキームについても、私的整理に関するガイドライン、RCCが定める準則、中小企業再生支援議会が定める準則に従った債務処理計画を想定して特例が適用されている。
 改正では、これら企業再生税制の適用スキームに「株式会社地域力再生機構」が関与した私的整理を適用対象とする予定となっている。
 地域力再生機構は、産業再生機構の地方版といえる組織で、全国各地で問題となっている、いわゆる第三セクターの破綻に対処するために政府が設置を予定している。





(以上参考;週刊「税務通信」第3059号)
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