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M&Aニュース

                                               2009年3月30日
 



  上場株価の回復可能性
  
        

  
  ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は12年ぶりの低水準となり、東京株式市場の日経平均株価も26年ぶりの低水準となるなど株価下落の激震が続く。3月決算法人にとって上場株式の評価損の計上をめぐる判定は悩ましい問題だ。
 税務上、上場株式等の評価損を計上できる場合の「有価証券の価額が著しく低下したこと」とは@期末時価額が帳簿価額のおおむね50%相当額を下回るA近い将来その価額の回復が見込まれないという両方の要件を満たす必要がある(法基通9−1−7)。@の株価下落率については確認したが、Aの将来の回復可能性については形式的な判断基準がないので、回復可能性の予測に当たり、各企業で判断が異なるだろう。
 将来の回復が見込まれないことについて、金融商品会計に関する実務指針では「株式の時価が過去2年間にわたり50%程度以上下落した状態にある場合」や「株式の発行会社が債務超過の状態にある場合」、「2期連続で損失を計上しており、翌期もそのように予想される場合」を挙げ、会計上は有価証券の評価損を計上できる場合に当たる。
 税務上も特段の事情のない限り、会計上の実務指針に挙げられたような場合を含み、同様に回復の見込みが認められない扱いとみられる。ただ、特段の事情のない限りとあり、期末直前にヒット商品や増資などがあった場合は「特段の事情」に当たるケースもあるので、留意が必要だ。企業が合理的に回復可能性の判断を下した客観的な資料等の提示を求められることもあるだろう。
 なお、法基通9−1−7の注意書きには「回復可能性の判断は、過去の市場価格の推移、発行法人の業況等を踏まえ、当該事業年度終了の時に行うのであるから留意する」とある。50%以上の株価下落とともに、回復可能性を見込めず評価損を計上した場合、翌期に株価が結果的に帳簿価額を上回っても、遡って評価損の損金算入額を是正する必要はない旨が明確化されているということだ。





(以上参考;週刊「税務通信」第3059号)
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