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M&Aニュース

                                               2009年4月08日
 



  再建型・清算型の法的整理では欠損金の
  繰戻還付忘れに注意
  
    解散や法的整理の直前期の黒字で還付金が生じるケースも    

  
  21年度税制改正では「欠損金の繰戻しによる還付の不適用」規定を一部緩和し(措法案66の13等)、資本金1億円以下の中小企業等については、21年2月1日以後終了事業年度から「欠損金の繰戻し還付制度」の適用を受けることができるようになる見込みだ。
 ところで、現行でも、会社更生法や民事再生法等を利用した「再建型」法的整理や、破産法・会社法上の特別清算等を利用した「清算型」法的整理等を行う場合には、一定の要件の下、同制度を適用できるとしており(法法80)、この点は21年度改正後も変更はないが、実務の現場ではこの点を単純に失念してしまうことも少なからずあるようだ。
 ”前年度が黒字、当年度が赤字”でなければ同制度は利用できないが、例えば計画的に「解散」するのであれば、徐々に会社の資産売却などを進めることで解散直前期に黒字となることもあり、また、急な業績悪化による「法的整理」等であっても、その決定直前期に不動産等の売却益で黒字計上していることなどもある。昨今の経済情勢の悪化を受け、近頃は民事再生法等を利用する企業もあり、その中には再建をあきらめ破産等を行う企業もあるだろうが、その際には、同制度の適用の有無を検討する必要があるだろう。


◆欠損金の繰戻し還付の失念に注意


 先述したように、解散や法的整理等を行う場合、「欠損金の繰戻し還付制度」の適用を単純に失念するケースが少なからずあるようだ。
 というのも、@現行税法では、「欠損金の繰戻し還付」制度を原則一定期間凍結しているため(措法66の13)、同制度はあらゆるケースで不適用になるものと誤解し、適用関係を全く検討しないことがある上に、A解散や法的整理等の経験がある税務専門家が少ないこと、B解散や法的整理等を選択した場合、その管財人や清算人には弁護士のような税務の専門家以外の者が就くことが多く、数々の整理業務に追われるうちに同制度の適用を完全に失念してしまうことなどがあるからだ。


◆「再建型」法的整理には適用があると明記


 そこで改めて、「欠損金の繰戻し還付制度」の規定を確認すると(法法80C、法令154の3)、同制度を利用できるのは、解散や事業の全部譲渡を行う場合のほか、会社更生法や金融機関等の更正手続の特例等に関する法律に則った更正手続の開始、民事再生法に則った再生手続の開始を行う場合などとなる。「再建型」法的整理には、一定の要件の下、同制度の適用がある旨が明確化されているということだ。


◆「清算型」法的整理を行う場合にも適用はあり


 また、一見すると、限定列挙された上記ケースには破産や会社法上の特別清算がないため、「清算型」法的整理の場合には同制度の適用がないものと誤解する向きもあるだろう。しかし、破産の場合は、破産手続の開始決定時点で「解散」していることとみなされ(会社法471)、会社法上の特別清算の場合は、そもそも通常の「解散」手続きが開始されていることを前提に行われるものであるため(会社法510等)、これらは「欠損金の繰戻し還付制度」上の「解散」に含まれ、一定の要件の下、適用が認められることとなる。







(以上参考;週刊「税務通信」第3060号)
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