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                                               2009年4月15日
 



  平成21年度税制改正 欠損金の繰戻し還付制度が復活
  
  
    本年2月期決算法人から適用可能     

  
   去る3月27日に平成21年度税制改正法案が国会で可決・成立したことにより、かねてから注目されてきた「欠損金の繰戻し還付制度」が事実上復活した。当制度の対象法人は、資本金1億円以下の法人とされ、今年2月1日以後終了する事業年度から適用が可能となる。
 ところで実務においては、当期の欠損金額が前期の所得金額を上回る場合、当期において「欠損金の繰戻し還付制度」の適用を受け、翌期以降に、前期の所得金額を上回る欠損金額について「欠損金の繰越し控除制度」の適用を受けることができるのか疑問に思う向きがあるようだ。
 この点について確認を行ったところ、「欠損金の繰戻し還付制度」と「欠損金の繰越し控除制度」はそもそも別の制度であるうえ、欠損金の繰越控除制度の規定では”繰戻し還付を受けるべき金額の計算の基礎となったものを除く”とされていることから、仮に当期の欠損金額が前期の所得金額を上回った場合、その上回った部分の欠損金額を翌期以降7年間にわたり繰り越すことができる。


◆ 還付請求書の期限内提出が必須要件


 「欠損金の繰戻し還付制度」は、平成4年4月から適用が停止されていたが、最近の景気悪化の影響により今期において赤字へ転落した企業が頻発していることを受け、平成21年度税制改正項目に当制度の復活が織り込まれていた。
 そして、この法案が去る3月27日に国会で可決・成立したことにより、平成21年2月1日以後に終了する事業年度から、資本金1億円以下の青色申告法人は当制度の適用を受けることができることとなった。
 この制度の適用は、申告期限内までに「欠損金の繰戻しによる還付請求書」を提出することが要件とされ、この還付請求書の提出が申告期限を過ぎた場合には、当制度の適用を受けることができないのでくれぐれも注意が必要だ。
 なお、この還付請求書の様式は、今回の改正に伴って大きく変更される予定はないようだ。


◆ 欠損金の繰越控除との併用も可能


 ところで、このところの世界的な金融危機の影響により業績が急激に赤字へ転落している企業のなかには、「欠損金の繰戻し還付制度」の適用を受けてもなお、控除しきれない欠損金額が生じるケースもあるようだ。これは、繰戻し還付制度の対象となる欠損金額は”還付所得事業年度(前事業年度)の所得金額が限度”とされているためだ(法法80)。
 この点、欠損金の繰越し控除制度上、翌期以降に繰り越すことができる金額は、”繰戻し還付の計算の基礎となったものを除く欠損金額(法法57)”とされているため、前期の所得金額を超える欠損金額が生じている場合には、当期に繰戻し還付を受けたうえで、翌期以降において「欠損金の繰越控除制度」の適用を受けることができることとなる。
 例えば、平成21年3月期における欠損金額が700万円の法人の前期(平成20年3月期)の所得金額が、500万円・法人税額が150万円である場合、平成21年3月期において繰戻し還付を受けることができる金額は、150万円(=前期法人税額150万円×当期欠損金のうち前期所得金額までの欠損金額500万円÷前期所得金額500万円)となる。そして、欠損金の繰戻し還付の計算において前期の所得金額を上回った欠損金額200万円は、平成21年4月以降7年間にわたり繰り越して所得金額から控除することが可能だ。





(以上参考;週刊「税務通信」第3061号)
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