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M&Aニュース

                                               2009年4月24
 



  有利子負債10億円未満の中小規模再生の特例を創設

  
  
    改正政省令を公布 企業再生税制を拡充     

  
  昨秋以降の急速な景気後退の影響で、国内では中小零細企業を中心に、販売不振や売掛金回収難による「不況型倒産」が深刻化している、平成21年度税制改正に伴い3月31日に公布された政省令では、有利子負債10億円未満の中小規模再生特例の創設など中小零細企業や地域に配慮した企業再生税制の拡充策の具体的な内容が明らかになった。景気悪化の下振れが懸念される中で、企業再生税制の適用要件を緩和するなど使い勝手を向上した拡充策が中小企業の再生の加速化を図れるかどうか注目される。


◆ 評価差額の限度額を100万円に引き下げ


、所得税法等の一部を改正する法律とともに公布された租税特別措置法施行令等により、事業承継税制として平成21年度税制改正で創設された「非上場株式等に係る贈与税及び相続税の納税猶予制度」の細目が規定された。
 同日公布された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則」は、改正措置法施行令等の制定に伴って全面的に整備されており、遺留分に関する民法特例に係る確認申請・確認書、認定申請書等の様式が定められるなどしている。
 なお、農地等の相続税の納税猶予制度についても、特定貸付けの特例など農地制度の見直しに伴って新たに設けられた特例制度の細目が規定された。


◆ 措置法改正政令で猶予税額計算方法の細目、対象者要件


 従前は資産の評価損の計上対象から貸付金や売掛金等の「債権」は除かれていたが、平成21年度改正より「債権」を除く旨の規定は見直された(法法33)。これで、資産評定の対象となる他の資産と同様に、債権についても資産の評価損の対象となり、帳簿価額を直接減額することが認められることとなる。
 中小規模の再生については、従前は評価損益の計上対象資産に係る評価差額の最低限度額は1,000万円としていたが、税制改正により有利子負債の金額が10億円未満の企業再生については100万円とする特例が創設され(法令23条の2C五かっこ書き)、評価損益を計上できる適用対象となる企業の門戸が広がる格好となった。また、弁護士等の専門家関与要件について、有利子負債10億円未満の企業では専門家人数の最低限度を従前の3人から2人に緩和した(法規8条の6@一)。これにより、有利子負債10億円未満の企業の再生税制が一段と活用しやすくなりそうだ。


◆ DESも「債務免除」の範囲に追加


 法的整理に準ずる私的整理の適用要件も緩和する。主に地方の第3セクターの再生を見据え、債務免除を行う対象範囲に地方公共団体を追加し(法令24条の2@四へ)、一以上の金融機関と地方公共団体が債務免除することを要件に加えた。また、借入金を株式に移転する「債務の株式化」(DES)をした場合も債務免除等として債務免除の範囲に加え(法令24条の2A三)、債権放棄に応じにくい金融機関が活用しやすくする配慮がなされた。


◆ 仮装経理による減額更正額の還付変更


 このほか、21年度税制改正では過去の仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除に関し、会社更生法の規定による更正手続き開始決定があった場合等の一定の場合に法人税額の還付請求ができる特例が設けられた(法法134条の2C、)。  この特例を受けることができる特定の事実については法的整理に準ずる私的整理、つまり私的整理に関するガイドライン、RCC(整理回収機構)が定める準則、中小企業再生支援協議会が定める準則に従った債務処理計画を想定した特例が設けられた(法令174条の2)。
 また、法令の規定による整理手続によらず、債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているものなどが追加された(法規60条の2)。





(以上参考;週刊「税務通信」第3062号)
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