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                                               2009年6月05日
 



  一定の私的整理に係る債権も評価損の対象に
  
  
  21年度税制改正政令公布 企業再生税制

  
  景気後退の影響が国内経済に広がる状況で、資産の評価額の計上対象に「債権」を含めた企業再生税制の拡充策は、企業再建に携わる実務家の関心を集めているようだ。
 今回公布された法令によると、会社更生法等の法的整理に係る債権については資産の評価損の対象となり、さらに法的整理に準ずる一定の私的整理に係る債権についても評価損の対象に含まれることが確認された。適用時期は平成21年4月1日以後に企業再生の事実の生ずる場合等で(法法附則9、法令附則4等)、企業再建に関わる実務家にとっては、債権をめぐる資産の評価損の範囲が拡充している点に留意されたい。


◆ 法改正で帳簿価額から直接減額


 従前の法律では、資産の評価損の計上対象から貸付金や売掛金などの「債権」は除かれていたが、改正法では「債権」を除く旨の規定が見直されたことから(法法33A〜C)、資産評定の対象となる他の資産と同様に直接減額が認められることとなった。
 従前から貸倒引当金の計上が認められているが、貸倒引当金による間接的な評価減の要件が厳しく、毀損した貸付金等の評価減を十分に計上するハードルは高かったとされる。


◆ 政令で評価損できる事実を整理


 改正後の政令では「資産の評価損の計上ができる事実」として、法人税法33条第2項にある特定の事実が生じた場合の資産の評価損の損金算入の規定で定める事実として、物損等の事実と法的整理の事実とした(法法33A)、法令68@)。これらにより、会社更生法と金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生手続といった法的整理では、貸付金や売掛金等の債権については評価減の計上対象となることが確認された。


◆ 民事再生法も計上対象に含める


 一方、民事再生法に基づく法的整理では企業会計上、資産の評価損については損金経理できないため、税務上も評価損として損金経理の対象外のものは損金算入できないが(法法33A)、改正法令では損金経理の要件を求めないこととして、民事再生法に基づく法的整理についても評価損の計上対象に含まれることとなった(法法33C、法令68の2)。


◆ 一定の私的整理は評価損の対象


 法的整理に準ずる一定の私的整理についても評価損の対象に金銭債権が加わった。具体的には私的整理ガイドライン、RCCが定める準則、中小企業再生支援協議会が定める準則、特定認証紛争解決手続きに従った事業再生計画などが含まれる(法法33C等)。原則として評価損益が1,000万円未満の資産は対象外としているが、中小規模再生の場合は評価損益が100万円以上の資産を対象に含めている(法令24の2C五、)





(以上参考;週刊「税務通信」第3065号)
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