運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2009年6月16日
 



  連結対象:組合及び信託−「会社に準ずる事業体」は個別で純額
  
  
  

  
  平成21年5月7日に開催された第176回企業会計準備委員会では、1.特別目的会社専門委員会における検討状況、2.企業結合専門委員会における検討状況、3.金融商品専門委員会における検討状況、4.引当金専門委員会における検討状況(廃止事業)、6.1株当たり利益専門委員会における継続企業の前提に関する注記の取扱い、8.新規検討テーマ(リース)についての審議が行われた。
 1.については、論点整理に寄せられたコメントの分析とその対応が報告された。
 「支配の定義と支配力基準の適用」については賛成するものが多いが、現在の連結ルールへの影響がないように配慮すべきという意見が多かった。論点整理でも触れられているが、従来の支配力基準の考え方を引き続き適用することが適当と考えられており、実務への大きな影響はない見込みである。
 「連結対象となる企業」についての論点では、組合及び信託の取扱いにも触れられていたが、個別財務諸表で総額法を採用していれば連結の範囲に含めず、純額法を採用している場合には連結の範囲に含めるかの判断を行うという考え方の説明を求める意見が多くあった。これについては、個別で総額法となるものは、資産の共有と同様に組合財産又は信託財産の持分割合だけが出資者又は受益者の資産及び負債として会計処理されており、改めて「会社に準ずる事業体」とする必要はなく、個別で純額法となるものは、会社への出資と同様に連結上も組合又は信託を「会社に準ずる事業体」と考えることが適当であるとの考えが示された。
 2.については、「取得原価の配分」に係る論点のうち、「認識原則」、「測定原則」、「売却目的で保有する資産」(売却費用の控除)、「偶発負債、企業結合に係る特定勘定」、「全部のれんの可否」の検討が行われた。
 3.については、金融商品会計の見直しに関する論点整理の文案検討が行われた。
 売却可能金融資産(その他有価証券)については、国際的な会計基準の検討の方向をにらみつつ、その縮小又は削除の可能性の検討が行われている。今回の事務局の整理では、その方向として考えられる3つの案が示された。
 第1案は、売却可能金融資産の持つ多様性等を理由に現行のままとするものである。
 第2案は、債権と株式を分けて整理する。すなわち、債権については、市場性のある債権(除、満期保有目的の債権)は、売却に制約がないことが多いことから公正価値で評価(評価差額は当期純利益で処理)し、市場性のない債券は、償却原価で会計処理をする。
 そして株式については、売買目的有価証券の範囲を比較的狭く解して、事業上の制約もなく業務上の関係も有しない投資も売却可能の分類に含まれているケースがあることから、これを売買目的有価証券と同様に扱い、事業遂行上の制約がある戦略的投資については、投資先の成果を期待しているのではなく、自らの事業からの成果を向上させるために行われている事業投資の一部であることから取得原価に基づく処理とすることが考えられている。
 第3案は、債券については第2案の考え方を採り、株式については現行どおりとするものである。
 対応はこの3案に限られるわけではなく、今後引き続き検討が行われる。
 4.については、引当金の論点のうち、測定の基本的な考え方を定めるか(現行のIFRSでは、報告期間の最終日における現在の債務の決算に要する支出の最前の見積りという「現時点決済概念」を測定目的として定めている)、現在価値への割引の要否(個別の会計基準等では割引に関する規定を設けるものであるが、引当金全般を扱う会計基準を作成する際にこれを取り入れるか)、期待値及び最頻値の使用(現在価値測定時に期待値のみを認めるか、最頻値の利用も認めるか)に係る論点の検討が行われた。
 5.について、国際的な会計基準において、廃止事業及び売却目的保有の非流動資産については、継続事業に関連する資産・負債及び損益とは区別して表示することが定められているが、現行日本基準では同様の定めはない。そのため、プロジェクト計画表に基づいて財務諸表における廃止事業等に関する取扱いの検討が専門委員会で行われている。
 今回は、「廃止事業に関連する損益の損益計算書における区分表示」及び「売却目的保有の非流動資産の貸借対処表における区分表示」の論点の検討が行われた。
 検討に際し、現在IASBでは損益計算書上での廃止事業の区分表示をやめるか否かを検討しているので、IASBの動向を踏まえて進めるべきとの意見が委員からあった。
 また、現在検討している「会計上の変更及び過去の誤謬に関する会計基準」によれば、廃止事業に該当するものは、過年度において継続事業であったものも修正再表示することとなるが、過去に稼働していたものまで廃止事業として修正再表示した情報に意味があるのかといった意見があったが企業が継続して行う事業の将来キャッシュ・フローの予測に資する情報の提供という観点に立てばこの取扱いにも情報価値は生じるのであり、私的も含め今後対応を検討することとされた。
 6.について、国際的な会計基準とのコンバージェンスの観点からIAS33号の改正を踏まえた我が国「1株当たり当期純利益に関する会計基準」の改正が専門委員会で検討されてきたが、この4月にIASBでの検討が一時中断されたことに伴い、専門委員会での検討も一時中断することとなった。
 7.については、四半期財務諸表においても年度の財務諸表と同様、継続企業の前提に関する一定の事実が存在すれば機械的に注記を行うのではなく、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象または状況を解消し又は改善するための対応をしてもなお継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるときに注記を行うよう基準を改正することが検討されている。
 8.については、リースに係るIASB討議資料(オペレーティング・リースのオンバランス化の検討等を内容とする)に対するコメント対応をリース会計専門委員会で行うことが報告された。





(以上参考;週刊「経営財務」第2918号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo