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M&Aニュース

                                               2009年6月29日
 



  繰戻し還付額 申告誤りが判明しても請求書記載額が ベースに

   
  
   当期欠損金額の過少計上判明 還付手続後だと還付金は増加せず

  
  
  平成21年度税制改正では「欠損金の繰戻しによる還付の不適用」規定を一部緩和し、資本金1億円以下の中小企業等の場合、3月決算法人であれば21年3月期から「欠損金の繰戻し還付制度」の適用を受けることができるが、仮に、還付手続後に前期所得金額や当期欠損金額に計算誤りを発見し更生の請求等を行ったとしても、還付金額は、修正前金額を基に算定した金額(=『欠損金の繰戻しによる還付請求書』(以下、請求書)に記載した金額)となる点に留意されたい(法基通17ー2−1)。
 というのも、同制度は一部ケースを除き16年近く凍結されてきたことから、少し複雑な前期納付法人税額の計算に自信がない向きや、その制度周辺の取扱いについて不慣れな向きもあるからだ。そこで改めて、計算誤りがあった場合の還付額算定について、具体例を紹介する。


◆ 当期欠損金額の過少計上が判明しても、その分は還付金に加算されず


 例えば、3月決算法人が20年3月期(前期)は所得金額1,000・法人額400、21年3月期(当期)では欠損金額200として還付請求書を提出した場合、通常であれば一定の要件の下、「20年3月期の法人税額400×21年3月期の欠損金額200/20年3月期の所得金額1,000=80」の算式で求めた80が還付される。しかし、請求書提出後に(=申告後に)、本来の21年3月期欠損金額が200でなく500であったと判明しても(申告誤りが判明しても)、やはり還付金額は80となる。つまり、本来の欠損金額500をベースに再計算した200(=400×500/1,000)が還付されるわけではない。
 このような取り扱いとなるのは、冒頭で触れたように、誤った欠損金額に基づき請求書に記載した還付金額80が、本来的な還付額200と異なっていたとしても、還付額は「算定を行う時」の所得金額・欠損金額をベースにすると通達で定めているからだ。還付請求書提出後に、21年3月期の欠損金額が過小であったとして更生の請求を行い、それが認められたとしても、還付金額は増加しないということだ。


◆ 前期が過大申告の場合超過納付分も含めて還付


新設された「海外子会社からの配当の益金不算入制度」は、従前の間接外国税額控除制度に代わるもので、日本の親会社が一定の要件の下、海外子会社から受ける配当が適用対象となる(法法23条の2関係)。これまでの間接外国税額控除制度では、海外子会社の優先株式に対する優先配当は間接外国税額控除の適用対象外であったのに対し、新たな海外子会社配当益金不算入制度のもとでは、優先株式を除外するなどの制限等がなく、優先株式など種類株式による配当も対象に含まれることが分かった。


◆ 従前の間接外国税額控除では優先配当は除外


 逆に、3月決算法人が、20年3月期(前期)は所得金額1,000・法人額400,21年3月期(当期)では欠損金額2,000であったような場合には、通常であれば一定の要件の下、「20年3月期法人税額400×21年3月期欠損金額2,000/20年3月期所得金額1,000」の算出で求めた400が還付されるが(20年3月期納付税額400が還付額の限度額)、これと同じく、本来の20年3月期所得金額が1,000でなく800(法人税額も400でなく320)と判明した場合にも、請求書に記載した400が還付される。つまり、本来の20年3月期所得金額800をベースに再計算した320が還付されるわけではない。
 繰り返しにはなるが、還付額は、「還付額の算定を行う時」の所得金額・欠損金額に基づき請求書に記載された金額ということだ。






(以上参考;週刊「税務通信」第3067号)
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