2009年6月30日
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経済危機対策「直系尊属からの住宅取得等資金贈与の特例」
相続時精算課税の場合500万円非課税枠は課税価格に含まれず
政府・与党が公表した経済危機対策のひとつである「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」は、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、20歳以上の者が、直系尊属からの贈与により受けた住宅取得等資金については、500万円まで贈与税を課さないとする特例で、先日、この特例の創設を含む「租税特別措置法の一部を改正する法律案」が国会に提出され、注目を集めている。
この特例は、暦年課税、もしくは相続時精算課税のどちらかの控除額と合わせて適用可能とされており、相続時精算課税を選択した場合は、贈与税について、住宅特例を含む特別控除額の3,500万円と、この特例の非課税枠の500万円と、合わせて4,000万円が非課税とされる。
贈与時に非課税となる4,000万円のうち、この特例の500万円の非課税枠については、贈与税の課税価格に算入しないとされているため、相続時の”精算”でも、4,000万円から500万円を除いた3,500万円のみが課税価格に加えられる点に注意したい。
◆ 精算課税の課税対象は4,000万円のうち3,500万円
この特例は、暦年課税、もしくは相続時精算課税のどちらかの非課税枠に合わせて適用可能であることは以前にお伝えした。
相続時清算課税を選択した場合、平成21年12月31日までであれば、住宅取得等資金に係る相続時清算課税の特例により、特別控除額が3,500万円となる。これに加えて、この特例の非課税枠である500万円が上乗せ可能なため、合わせて4,000万円が非課税となる。
例えば、4,000万円の贈与を受け、他に相続財産がない場合、贈与の時点では贈与税が全額非課税となっても、相続の時点では、この特例の非課税枠である500万円を含む4,000万円が課税価格になると考え、そのような仕組みであれば、追加経済対策で手当てされた500万円の非課税枠を活用するには、暦年課税を選択したほうが有利であると考える向きもあるようだ。
しかし、精算課税で課税価格となるのは、3,500万円のみで、500万円についてはそれとは別に新制度の適用で非課税となる。
◆ 非課税枠の500万円は課税価格に加えられない
4月末に国会に提出された、「租税特別措置法の一部を改正する法律案」の「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税(措法70の2)」には、「当該贈与により取得をした住宅取得等資金のうち500万円までの金額については、贈与税の課税価格に算入しない」と規定されている。
上記の例のように、4,000万円の贈与を受け、他に相続財産がない場合、4,000万円の非課税枠のうち、500万円は贈与税の課税価格に算入しないため、精算課税贈与自体の贈与税の課税価格は3,500万円ということになる。
したがって、相続時においても、この特例の非課税枠の500万円を含めた4000万円が相続税の課税価格となるのではないので、確認しておきたい。
(以上参考;週刊「税務通信」第3067号)
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