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                                               2009年7月10日
 



  測定区分、「公正価値」と「償却原価」へ

     
   ASBJ 金融商品会計の国際動向を説明

  
  
 企業会計基準委員会(ASBJ)は5月29日「金融商品会計の見直しに関する論点の整理」公表の経緯などを説明した。
 金融危機の影響を受け、G−20による基準簡素化の要請など、国際会計基準(IFRS)や米国会計基準(SFAS)における金融商品会計を巡る動きが目立っている。こうした中、IASBでは現在、「測定方法・区分の見直し」などを審議しているもよう。検討次第では、測定区分によって評価方法を定める現行方式から公正価値と償却原価で測定・区分する方向へ変わる可能性も。包括利益の取扱いなど複数の論点も絡むため、海外動向から目が離せない。ASBJも、最近の国際動向との関連を「一般に広く知ってもらいたい」考えだ。


◆ 金融危機対応、IFRS巡る動向


 金融危機の発生で、IFRSとSFASとの「金融商品会計」の差異が注目されている。これまではIASBが2008年10月に「金融商品の再分類」を容認したのをはじめ、日本でもASBJが同様の変更を行うなど各国・地域の基準設定主体が部分的に対応してきた。だが、「現行基準は複雑すぎる。簡素化すべき」といった全面的な見直しを求める声があり、G−20は今年4月に「金融商品会計基準全体についての複雑性の提言」をIASBとFASBに求めた。
 これを受けてIASBは、今秋の草案公表を目指す「IAS39号」の置き換えに向けた計画を公表した。ASBJが公表した今回の論点整理も、これらの動向を踏まえた。「幅広く意見を集めたい」(加藤厚・常勤委員)との考え。


◆ 中心テーマは「測定方法・区分の見直し」


 ただ、「直近の動きとして、IASBは測定方法・区分の見直しについて前倒して審議を進めている」(加藤氏)と付け加え、細心の動向を紹介した。それによると、IASBでは「金融商品を公正価値と償却原価のいずれかで測定する前提で作業している」ようだ。これは、従来の区分を前提とせずに、測定方法・区分そのものを見直すもの。金融商品の4区分を2つに減らす案が検討されているという。
 具体的には、金融商品を「事業投資」や「金融投資」といった捉え方ではなく、「キャッシュ・フローの変動性の大小によって公正価値で測定するかどうか判断する方法」等が検討されている。公正価値で測定するものはさらに、@評価結果の変動を直接損益に計上するものと、A包括利益(資産の部)で表示、損益を計上しない結果として減損もしないもの、の2つに分類される方向。
 この方針で審議が進んだ場合、例えば、持分金融商品(株式)が上記の対象に入ると、日本でも関心の強い戦略(長期)投資等はこれに含まれる可能性が高い。今後、償却原価と公正価値で区分し、公正価値についてはさらに経営者の意図による分類を認めるかどうかなど方向性はまだ流動的だが、包括利益の取扱いは@損益に計上できない、A減損が不要になる、B当期純利益の性質が変わる。といった様々な論点を孕むため、引き続き海外動向への注意が必要だ。






(以上参考;週刊「経営財務」第2921号)
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