2009年7月15日
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2009年3月期決算、GC注記減少へ
注記解消も半数は「リスク情報」で開示
東京商工リサーチ(TSR)は2009年3月期決算の上場企業を対象に「継続企業の前提に関する注記」(GC注記)の記載状況を調査、6月9日に結果を公表した。それによると、2009年3月期決算でGC注記のある企業は83社で、第3四半期(2008年12月末)時点の132社から約4割の減少となった。ただ、リスク情報等を開示した企業が59社あり、TSRは「従来の監査基準からすると総数は142社で、前期第3四半期時点を上回る結果」と指摘する。
GC注記については4月9日に監査基準が改訂、これを受けて財規等も改正された。一連の見直しは、世界不況によるGC注記の増加と信用不安拡大の回避策ともいわれ、新基準に基づくGC注記の記載状況が注目されていた。
◆ GC注記、基準等改正受けて減少へ
平成21年3月期決算に係る財務諸表の監査から改訂監査基準とそれに対応する改正財務諸表等規則などが適用されている。一連の改正により、従来は「直ちにGC注記」が付くようなものも、「解消または改善させる対応をしてもなお重要な不確実性がある場合に、GC注記を要する」ことに。改正後、旧規定上GC注記で開示していた情報は有価証券報告書の「事業等のリスク」等に記載(開示は監査対象外)される。
このため、この3月期には、GC注記が記載される企業の減少が見込まれていた。TSRの調査結果はこれを裏付けたかたち。
TSRの調査では、「3月期決算企業で2008年末時点にGC注記があった132社のうち、継続して注記がついたのは70社、注記がはずれたのは55社だった」。
◆ 注記解消も半数はリスク情報で開示
注記が解消した55社のうち、27社が「事業等のリスク情報」、「継続企業の前提に関する重要事象」、「会社の対処すべき課題」等でGCに関する重要事項を開示しているようだ。また、新たにGC注記を開示した企業が13社、GC注記がなくても「リスク情報」等として開示した企業が32社あったことがわかった。業種別のGC注記記載社数は以下のとおり。
製造業 |
28 |
不動産業 |
11 |
卸売業 |
10 |
情報・通信業 |
10 |
サービス業 |
8 |
小売業 |
6 |
建設業 |
4 |
金融業 |
3 |
証券業 |
2 |
運輸業 |
1 |
出所:2009年3月期決算 上場企業「継続企業の前提に関する注記」状況調査
調査ではまた、GC注記の記載がある企業83社のうち9割以上の78社が、重要・継続的な「売上減」、「損失計上」、「営業キャシュ・フローのマイナス」など本業面での業績悪化が理由であったと指摘している。
(以上参考;週刊「経営財務」第2922号)
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