運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2009年7月24日
 



先代経営者 無給の名誉職は基本的に支障なし
                

    

          非上場株式等の贈与税の納税猶予制度
  



 
 平成21年度税制改正では、中小企業税制の目玉として「非上場株式等に係る贈与税及び相続税の納税猶予制度」が創設された。贈与税の納税猶予制度については、相続税の同制度における相違点として、先代経営者が贈与時までに役員でないことが要件だ。この「役員の範囲」については、会社法で規定する取締役や監査役等を指すが(措令40条の8@等)、役員退任後に形式的な名誉職に就いた場合は給与や役員報酬の支給を受けなければ、贈与税の納税猶予制度と、その前提となる経営承継円滑化法に基づく経済産業大臣の認定において、基本的に支障がないことを確認した。


◆ 先代経営者は役員を退任


 平成21年4月1日から始まった贈与税の納税猶予制度(措法70条の7)では、対象となる「認定贈与承継会社」の代表権を有していた個人が贈与直前に@贈与者とその同族関係者で総株主等議決権数の50%超を保有A贈与者が有する議決権数が受贈者を除く同族関係者内で最多のほか、贈与時に役員でないことを満たすことを要件としている。
 この役員とは会社法329条第1項に規定する取締役、会計参与、監査役又は業務執行社員をいい、贈与税の納税猶予制度の適用と、その前提となる経済産業大臣の経営承継円滑化法に基づく認定に当たっては、贈与時までに先代経営者は役員を退任しなければならない(措令40条の8@三、経営承継円滑化法施行規則6@七ト(8))。具体的には、先代経営者が登記簿謄本において役員から除外されていなければならない。


◆ 無給の役職ならば就任も


 先代経営者の中には、一代で会社を築き上げたオーナーも少なくなく、その功績からも名誉職でいることはできないかという声もある。国税当局等に確認したところ、代表権を持っていた先代経営者が経営承継受贈者に経営移譲を行い、贈与時までに役員を退任後、例えば会社法に規定する役員でない「相談役」「名誉会長」「特別顧問」などのような名誉職的な役職で、かつ給与等の支給を全く受けていないならば、制度上において支障がないということだ。ただし、制度の趣旨として経営承継受贈者に経営を移譲することからも、先代経営者が”院政”などで実質的に経営権を握ったままであれば、個別ケースで判断されることになろう。
 また、贈与時の翌年の申告期限から5年間、先代経営者が代表権を持たず、かつ無給の役員以外の役職に就くことは、経営承継受贈者を側面支援する意味合いからも納税猶予の打切り事由や、経済産業大臣の認定の取消事由に該当しないが(措令40条の8、円滑化法施行規則9条A二十一)、給与等を受けた場合は打切りや取消事由に当たるので注意が必要だ。


◆ 翌年3月15日までに申告


 なお、贈与税の納税猶予の適用を受ける手続きは、経営承継受贈者が贈与を受けた年の翌年1月15日までに経済産業局へ経産大臣認定の申請を行い、認定時に交付される認定書を添付して、同年2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行う必要がある。







(以上参考;週刊「税務通信」第3071号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo