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M&Aニュース

                                               2009年7月31日
 



  連続して再編が行われた場合における
            ”特定資本関係が生じた日”
  

    

   欠損金の利用制限等にも影響するため慎重に確認を
  
 



 適格合併等を行った際、合併法人等の過去の繰越欠損金を全額引き継ぐことができるのか、それとも利用制限を受けるのかは実務上問題となりやすい。
 というのも、組織再編税制上、合併法人等の特定資本関係が合併事業年度開始の日の5年前の日以後に生じている場合、みなし共同事業要件を満たさない限り繰越欠損金を引き継ぐことはできないこととされているが、実務上では、この特定資本関係が生じた日の判断に迷うケースが少なくないためだ。
 特に最近では、短期間に連続して組織再編が行われるケースが少なくなく、特定資本関係が生じた日の判断を誤る事例が散見される。
 そこで今回は、再編が連続した場合における特定資本関係が生じた日について、事例をもとに確認する。


◆ 特定資本関係が生じた日以後5年以内の合併は欠損金の利用に制限も


 適格合併等が行われた場合、被合併法人の適格合併の日前7年以内に開始した事業年度で生じた欠損金額(未処理欠損金額)は、合併法人の各事業年度の欠損金とみなして合併等事業年度以後の事業年度に繰り越して控除することができることとされている(法法57A)。
 ただし、繰越欠損金の引き継ぎを目的として欠損会社を吸収合併することにより、黒字法人の利益圧縮を図るなどの租税回避行為を防止するために、@合併法人等と被合併法人等との間に50%超の資本関係(特定資本関係)にあり、Aその特定資本関係が適格合併等事業年度開始の日前5年以内に発生し、Bみなし共同事業要件(法令112F)を満たさない場合には、被合併法人に加えて合併法人についても欠損金の引き継ぎの制限を受けることとなる。
 ちなみに、特定資本関係とは、二の法人のいずれか一方の法人が、他方の法人の発行済株式又は出資の総数の100分の50を超える数の株式を直接又は間接に保有する関係、二の法人が同一の者によってそれぞれの法人の発行済株式等の総数の100分の50を超える数の株式を直接又は間接に保有される関係、と定義されている(法令112C)。


◆ 連続で再編が行われた場合の特定資本関係が生じた日の判断


 実務上では、再編が短期間内に連続して行われているような場合には、合併法人等と被合併法人等との間にいつ特定資本関係が生じていたか判断が難しく誤りも散見されているようだ。
 そこで今回は、それぞれ100%子会社を保有する親会社間で合併が行われた後、兄弟会社で合併を行った場合に特定資本関係が生じた日がいつになるのか、事例をもとに確認する。




 会社分割等により法人が新たに設立された場合、分割等を行った法人と新設法人との特定資本関係は、設立の日となる。したがって、B社と100%子会社であるC社、A社と100%子会社であるD社、それぞれ特定資本関係が生じた日は設立の日「平成8年10月1日」「平成9年5月1日」となる。
 その後、B社がA社に吸収合併(適格合併)されたことにより、B社の100%子会社であるC社は、A社の子会社となると同時に、A社の100%子会社であるD社と兄弟会社となる。つまり、新たに子会社となったC社はD社との間に「平成18年7月1日」に特定資本関係が生じたこととなる。
 したがって、その後においてC社とD社の兄弟会社間が合併した場合、先述のとおりC社とD社は、”特定資本関係が合併等事業年度開始の日の5年前の日以後に生じていた”ということになるため、みなし共同事業要件を満たさない限りC社とD社ともに繰越欠損金の利用について制限を受けることとなる。




(以上参考;週刊「税務通信」第3072号)
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