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M&Aニュース

                                               2009年8月4日
 



  株式移転後に適格合併が見込まれている場合の
  株式移転に対する適格判定


  

    関東信越国税局 ”支配関係要件”の判定を巡る照会に対し文書回答

   
  
 
  関東信越国税局は3月31日、株式移転後に適格合併が見込まれている場合の株式移転に対する適格判定について、納税者からの照会に対し文書回答を行った。
 組織再編税制上では、株式移転後に適格合併が見込まれている場合、株式移転後に株式移転完全親法人が株式移転完全子法人の発行済株式の全部を、継続して保有するとともに、合併後においても合併直前の発行済株式の全部に相当する数の株式を継続して保有する関係が見込まれている場合には、支配関係要件(適格要件の一つ)を満たすこととされている。
 本件は、株式移転後に適格合併が見込まれており、合併前においては株式移転完全親法人と株式移転完全子法人との関係は”直接的な100%資本関係”である一方、合併後には”間接的な100%資本関係”となる。このことからすると、「株式を継続して保有」しているとはいえず、支配関係要件を満たしたことにはならないものと考えられるが、本件の場合は、株式移転後・適格合併後においても、株式移転完全親法人が株式移転完全子法人の発行済株式の全部を「直接又は間接に保有する関係が継続する」ことが見込まれていることから、支配関係要件を満たしていると考えて差し支えないとの見解が明らかにされている。


◆ 完全支配関係がある場合の株式移転の適格要件


 組織再編税制上、株式移転が適格に該当する場合、株式の譲渡損益は発生せず課税の繰り延べが行われる一方、非適格の場合、完全子法人の旧株主は株式の譲渡損益を認識するとともに、完全子法人は一定の資産を時価評価しなければならないこととされている。
 この適格要件の一つとして、「完全支配関係」が規定されている。具体的には、下記のとおりだ。

1.(法令4の2R)
  一の法人のみがその株式移転完全子法人となる場合には、株式移転後に株式移転完全子法人が株式移転完全親法人の直接又は間接の資本関係による100%子会社である関係が継続すること

2.(法令4の2Rかっこ書き)
 株式移転後に、株式移転完全子法人を合併法人とする適格合併を行うことが見込まれている場合には、株式移転後に株式移転完全親法人が株式移転完全子法人の発行済株式の全部を保有する関係が継続し、適格合併後に株式移転完全親法人が株式移転完全子法人の合併直前の発行済株式の全部に相当する数の株式を継続して保有する関係が見込まれていること


◆ 株式移転時における再編計画


 照会者であるA社は、グループ全体の事業再生を効率的に行うために、以下の組織再編計画を実施することとした。


@ A社の株式移転により、A社は株式移転完全親会社として設立したX社の子会社となる。
A 株式移転後にA社が保有していた100%子会社であるB社、C社、D社の株式の全てをX社に譲渡す る(X社を持株会社とするX社グループを組成)
B X社は、X社の100%子会社となったA社等のうち、同一事業(バス事業)を営む子会社の株式をX社が金銭出資により設立する中間持株会社に譲渡する(X社グループのバス事業に係る中間持株会社を設置) 
C バス車輌の有効活用により収益拡大を図る目的として、A社を合併法人、B社を被合併法人とする適格合併を行う
D その結果、A社は直接的なX社の100%子会社から、中間持株会社を介した間接的なX社の100%子会社となる


◆ 実質的に株式保有関係は変わらないため適格と判断


 上記のとおり、本件は、株式移転時において株式移転後に適格合併の実施が見込まれており、加えて、株式完全親会社(X社)が金銭出資により設立した中間持株会社にA社株式が移転することから、結果として、適格合併後に株式移転完全親法人(X社)が、株式移転完全子法人(A社)の適格合併直前の発行済株式の全部に相当する数の株式を継続して”直接”保有することにはならないこととなる。
 このことからすると、上記2の規定上(文理上)、支配関係要件を満たさないこととなり非適格に該当するのではとの疑義が生じていた。 
 この点、本件については、株式移転後のみならずその後の適格合併後においても「直接又は間接の資本関係による100%子会社である関係は継続している」といえる。つまり、株式移転後に適格要件が見込まれていることをもって、法令4の2R(かっこ書き)による支配関係要件を一律に判断することなく、同令の本則により支配関係要件を満たしていると解することができる点が確認されている。





(以上参考;週刊「税務通信」第3073号)
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