運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2009年8月31日
 



  
 グループ税制は100%資本関係法人を射程に
      検討される方向
     
  
    第2・3回 資本に関係する取引等に係る税制についての
        勉強会が開催される

   

  財務省・経済産業省はこのほど、第2・3回目の「資本に関係する取引等の係る税制についての勉強会」の議事要旨を同省ホームページで公表した。
 この勉強会は、近年、グループ法人は一体的に運営が行われている傾向が強まっている点を踏まえ、実態に即した課税を実現させる観点から現行の税制について問題点の洗い出しが行われたもの。
 第2・3回の勉強会では、グループ法人間の取引を本支店間や支店間の取引と同じように考え、資産の譲渡取引による損益をグループ外へ譲渡した時点まで繰り延べることとしてはどうか、グループ企業間で寄附を行った場合の取扱いを整備してはどうか、といった意見があげられた他、大規模法人の100%子会社である中小企業は、単独の中小零細企業と異なり資金調達能力等に対する制作的配慮の必要性が乏しいことから中小特例の適用は必要ないのではないか、といった意見もあげられている。
 なお、当勉強会は6月末に既に終了しており、近日中に勉強会の論点整理(取りまとめ)が公表される予定だ。取りまとめらた論点は、平成22年度税制改正の検討項目に織り込まれ、更に議論が進められていくこととなる。


◆ 100%支配関係のグループ法人を基本に検討される可能性も


 財務省や経済産業省は、グループ法人の一体的運営に対する課税のあり方、資本に関係する取引等についての課税のあり方を主なテーマとして有識者との意見交換を4回にわたり行った。今回は、このうち第2・3回目の勉強会で説明されたグループ法人の実態や、新たに創設が検討されているグループ税制についての意見等の要旨が公表されている。
 このうち近年のグループ法人の実態については、グループ法人の経営の傾向が会社分割等による分社化ではなく、グループ関連会社を100%子会社化して、グループ経営の強化を図る企業が増大している一方、中小企業についても、新規事業の展開や取引先等他社の要請への対応として、分社化等を目的とした子会社の設立や取得が行われている、との説明が行われた。
 この説明から、100%資本関係のあるグループ法人数が年々増加している傾向がうかがえる。これらの実態等を踏まえると、新制度として創設が検討されているグループ税制は、100%支配関係のグループ法人を射程におきながら検討されていく可能性が高いものと考えられよう。


◆ グループ税制は連結納税制度を包含する制度に


 一方、同勉強会では、新制度として創設が検討されているグループ税制の位置付けについての議論も交わされ、100%支配関係のある企業のみ適用することができる連結納税制度を包含する制度としてとらえるべきではないかとの意見があがった。
 また米国には、連結納税制度を選択してない場合であっても、50%超の直接又は間接的な資本関係がある関連会社間取引で発生した資産の損失については損金不算入とする制度があるが、新しいグループ税制の創設を検討する際には、このような海外の税制も参考になるのではないか、との意見もあがっている。





◆ 大規模法人の100%子会社の中小特例不適用とする意見も浮上


 また、グループ税制の具体的な内容については、グループ法人間の取引を本支店間や支店間の取引と同様に考え、資産の譲渡損益を第三者へ譲渡する時まで認識しないこととしてはどうか、グループ法人間で寄附が行われた場合、いずれも認識しないこととしてはどうか、といった意見等があげられている。
 さらに、資本金1億円以下の法人等を対象とした中小企業に対する各種特例の適用についても、大規模法人の100%子会社の場合、単独の中小零細企業とは異なり資金調達能力等に対する政策的配慮の必要性は乏しいといえることから適用は必要ないのではないか、とする意見もあげられた。
 なお同勉強会では、上記以外にも現行の組織再編税制や連結納税制度の一部見直しも含めた議論も交わされている。これらの詳細については、近日中に財務省・経済産業省から公表される予定の”取りまとめ”で明らかとなる見通しとなっているので注目だ。


資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会(第2・3回)議事要旨(抜粋)


■ 第2回

3.議事概要
(出席者から出ていた説明・意見等)
○ 米国には、連結納税を導入していない企業グループについてもグループを一体的に取り扱う制度があり(例えば、資産譲渡における損失の計上等)、こうした海外の制度は我が国におけるグループ法人に対する税制を検討する上で参考となるのではないかとの意見があった。

○ 企業グループの実態を税制に反映させることは重要な課題であるという認識に立ち、グループ法人間の取引を本支店間や支店間の取引と同じように考え、資産の譲渡取引、寄附金等において税制を整備することが考えられるのではないかとの意見があった。また、連結納税制度はグループ法人に対する税制に包含される制度としてとらえられることとなるのではないかとの意見もあった。

○ 最近のグループ経営の実態について、会社分割による分社化だけではなく、企業グループ内の関連会社を100%子会社化してグループ経営の強化をし、グループ統合のメリットを追求する傾向があるとの説明があった。


■ 第3回

3.議事概要
(出席者から出ていた説明・意見等)
○ 中小企業のグループ経営の実例をみると、新規事業の展開、取引先等他社の要請への対応、事業承継の円滑化、事業責任の明確化のための事業部門の分社化等を目的とした子会社の設立・取得が行われているとの説明があった。

○ 外国には、グループ内の資産移転からキャピタル・ゲインもロスも認識しないという制度や企業の清算再設立行為による租税回避行為の防止措置として損失を認識しないという制度がある旨の紹介などがなされた。また、グループ法人間の資産移転の理論的捉え方についての紹介などがなされた。

○ 規模の大きな法人の100%子法人である中小企業に対する中小特例の適用について、グループ子法人の経営上の位置付けを踏まえた検討を行うべきなどの意見がある一方、そのようなグループ子法人は単独の中小零細企業と異なり資金調達能力等に対する政策的配慮の必要性が乏しいと考えられることから、中小特例の適用は必要ないのではないかなどの意見があった。

○ 組織再編の適格対価について、その範囲の再検討が必要ではないかという意見や、再検討の結果、現行の組織再編税制の長所である、高い予測可能性が損なわれることがないように注意して欲しいとの意見もあった。





(以上参考;週刊「税務通信」第3077号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo