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M&Aニュース

                                               2009年9月01日
 



  
 事業実態により資産保有型会社であっても
            納税猶予の対象に
     
  
 資産保有型会社は1日でも要件を満たさないと該当することに

   

  21年改正で創設された事業承継税制では、事業承継にかかり一定の要件を満たす非上場株式等について相続税・贈与税の納税が猶予されることとなるが、資産保有型会社、資産運用型会社に該当しないことが、納税猶予の要件の一つとされている。
 「資産保有型会社」とは、納税が猶予されている期間において、総資産に占める有価証券、不動産、預貯金等の特定資産の合計額の割合が70%以上の会社であり、「資産運用型会社」とは、納税が猶予されている事業年度において、総収入金額に占める特定資産の運用収入の合計額の割合が75%以上の会社をいう。
 このうち、資産保有型会社は、租税特別措置法70条の7第2項8号に規定されており、「政令で定める期間内のいずれかの日において」総資産に占める特定資産の割合が70%以上であることとされているが、この「いずれかの日」というのは、1日でも要件に該当しない日があれば資産保有型会社に該当するということであり、つまり、1日でも資産保有型会社に該当するのであれば、納税猶予の規定から外れるということになる。
 この点については、一時的でありながらも多額の借入金等を行うと、資産保有型会社に該当するケースが想定されることから、事業承継するに際して、納税猶予を受けることについて危惧する向きも見られるようだ。
 ただ、措置法施行令40条の8第21項2号では、資産保有型会社等について事業実態基準が設けられており、この規定を満たしているのであれば、納税猶予の規定を受けることができ、70%以上という基準は事業実態がない会社が、納税猶予制度の適用を受けることを排除するために設けられているので、確認をしておきたい。


◆ いずれかの日は1日でも納税猶予から外れることに


 事業承継税制では、納税猶予の対象となるための要件として、「先代経営者」、「後継者」、「会社」について、それぞれ要件が設けられている。
 周知のとおり、この認定対象会社の要件とは、「中小企業基本法の中小企業であること」、「非上場会社であること」、「資産保有型会社、資産運用型会社に該当しないこと」等であるが、「資産保有型会社」とは、有価証券、不動産、預貯金等の合計額が総資産の70%以上を占める会社であり、「資産運用型会社」は、それら有価証券、不動産、現預金等の運用収入の合計額が総収入金額の75%以上を占める会社とされちる。
 この「資産保有型会社」の規定は、「政令で定める期間内のいずれかの日において」総資産に占める特定資産の割合が70%以上であることとされていることから、この「いずれかの日」という言葉に関心が持たれていたところだ。
 ここでいう「いずれかの日」というのは、仮に1日でも有価証券、不動産、預貯金等の合計額が総資産の70%以上を占めるようなバイには、資産保有型会社に該当することを意味する。
 よって、例えば、金融機関からの多額の借入金により、会社の資産の総額に占める現預金の割合が一時的でも70%以上になった場合には、形式的には資産保有型会社に該当することとなり、そのことを理由として納税猶予の対象から外れることを懸念する向きもあるようだ。


◆ 事業実態基準で資産保有型会社に規定を満たすことに


 しかし、この資産保有型会社等については、事業実態基準が措令40条の8に設けられており、この規定を満たしているのであれば、70%以上という基準を満たしていないことは問題にならず、納税猶予の規定を受けることができる。
 事業実態基準は、「商品販売等」、「常時使用従業員の数が5人以上」、「常時使用従業員が勤務している事務所、店舗、工場その他これらに類するものを所有」等とされており、これは真っ当に事業を行っているのであれば、事業実態基準を満たすこととなるので、さほど大きな影響はないのではないかと考えられる。
 ただ、常時使用従業員の数が5人以上ということについては、極めて小規模の企業が納税猶予を受けて事業承継を行うに際して、厳しいのではないかとの考えもあるようだ。




(以上参考;週刊「税務通信」第3077号)
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