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M&Aニュース

                                               2009年9月04日
 



  
「事業再生ADR」利用時の税務上の取扱い
     今後も変更なし
  
 

 国税庁 債務者側・債権者側の税務上の取扱いを改めて文書回答


  国税庁は7月9日、事業再生を図る私的整理スキームの一つである「事業再生ADR制度」(特定認証紛争解決手続)に基づき債権放棄等が行われた場合の税務上の取扱いについて、改めて文書回答を行った。従前から、事業再生ADR制度利用時には、資産の評価損益の算入、期限切れ欠損金の利用、債権者債権放棄等による損失の損金算入を認める旨を文書回答で示してきたが、その前提条件となる「資産評定基準」(再建企業の資産評定を行う際の基準)が先般見直されたため、経産省は再度、国税庁に対して税務上の取扱いに変更がないか確認的な意味合いで事前照会を行い、変更がない旨を文書回答で得ている。


◆ 事業再生ADRとは


 事業再生ADR制度は、平成19年の産活法改正により導入された。同制度に基づく事業再生手続きを、正式には「特定認証紛争解決手続」と呼ぶ(以下、事業再生ADR)。
 大まかな手続きの流れとして、まず同手続を利用できるか否かの判定等を「事業再生ADR事業者」が行い(現在、これに該当するのは事業再生実務家協会のみ)、その上で事業再生の見込みがあると判断されたならば、主に事業再生経験を持つ弁護士・会計士等の専門家を事業再生ADRの「手続実施者」として派遣し、再生処理を行う。


◆ 最大のメリットは”秘匿性”の高さ


 同制度の利用メリットには、私的整理ガイドラインと異なりメインバンクが中心となって事業再生を図る必要がない点などがあるが、最大のメリットは、その”秘匿性”の高さとも言われる。つまり、法的整理を利用した場合には、その事実が一般に周知されてしまい風評被害を受けるリスクもあるが、事業再生ADRにおいては利用状況が原則非公開となるため、前期のような問題が生じにくいということだ。


◆ 国税庁への事前照会の経緯


 同制度利用時の税務上の取扱いについては、従前から、再建企業の公正な資産評定を行うための基準(平成19年経済産業省告示第209号)等を前提とする国税庁からの文書回答で(平成20年3月28日付)、債務者側では@資産の評価損益を算入できる、A期限切れ欠損金を利用できる、債権者側ではB原則として債権放棄等による損失を損金算入できる旨が示されてきた。しかし、この前提となる「資産評定基準」が先般見直されたため、経産省では再度、新基準(平成20年経済産業省告示第257号)を前提とした税務上の取扱いにつき事前照会を行い、国税庁から7月9日付で文書回答を受けた。


◆ 税務上の取扱いに変更はなし


 もっとも、先述した資産評定基準の見直しでは、資産・負債の資産評定を行う場合に定めがなかった箇所の明確化(資産評定時の、のれんや繰延税金資産等の取扱い)、売上債権や棚卸資産の資産評定を会計基準対応に改めることに留まり、公正な資産評定を行うという趣旨に変わりはない。このため今後も、同制度利用時には、前記@ABの取扱いが認められる。





(以上参考;週刊「税務通信」第3078号)
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