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                                               2009年9月07日
 



  
「資本に関係する取引等に係る税制の勉強会」の
     取りまとめ公表
  
 

 グループ法人単体課税制度のほか既存制度の見直しを検討


  財務省や経済産業省は7月30日、資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会の論点を取りまとめ公表した。
 この勉強会は、会社法や組織再編制度、連結会計制度等を背景としてグループ法人の一体的運営が加速している点を踏まえ、現行の税制が実態に即しているのか有識者等を交えて検討が行われたもの。
 連結納税制度を導入していないグループ法人について、現行の単体課税の下で所得通算までは行わない”グループ法人単体課税制度”の新たなな導入へ向けた論議が行われた他、現行の連結納税制度に関しては、連結納税開始時における子法人の単体欠損金の持ち込み制限の緩和、子法人が有する資産の時価評価課税についての見直し等についての検討も行われている。
 なお、今回の勉強会で議論された内容は、新たな税制の導入等へ向けて決定されたものではなく、平成22年度税制改正の検討項目に織り込まれ引き続き論議が重ねられていくこととなる。


◆ グループ法人単体課税制度は100%資本関係法人を対象に検討


 当勉強会では、経営が一体的に行われている企業は、グループの要素を反映した課税を導入することが適当であるとの観点から、連結納税制度を適用していないものについて”グループ法人単体課税制度(仮称)”の導入が検討された。
 グループの範囲については、制度の複雑化を回避する等の観点から、完全資本関係(100%)のある法人を対象として検討し、株式保有割合100%未満の場合については中長期的に検討すべきではないかとの意見が挙げられている。


◆ 100%資本関係の範囲には個人や外国法人も含まれる


 新制度として導入が検討されているグループ法人単体課税制度は、グループ内で行われた資産の譲渡取引による損益について、グループ外へ譲渡される時まで課税の繰延を行うとともに、グループ内で寄附等を行った場合においても受贈益を認識しないなど、実現した場合には現行と取扱いが大きく変わる可能性が考えられる。このことから、いわゆる”グループ”の範囲に、個人や外国法人等が含まれるのか、注目されるところだ。
 この点、今回のとりまとめではグループの範囲は”資本関係”で判断することとなるため、個人や法人、外国法人、資本金等の規模に関係なく、全て100%資本関係のあるものがグループとして括られる方向が示されている。つまり、個人が複数社の株を100%保有している場合、その個人を親とした100%子法人は全てグループ法人となる他、日本法人と100%資本関係のある外国法人においても、グループ法人として位置づけられることとなろう。
 そのうえで、それらの法人に対するグループ法人単体課税制度の適用については、各個別制度の趣旨等と照らし個人や外国法人等に馴染む制度であるのかなど個別に判断していくことが想定されている。


◆ 各種特例の適用有無は制度の趣旨を照らし個別に判断


 また、グループ法人単体納税制度が導入された場合、グループ内の資本金1億円以下等の中小法人に適用される税務上の措置の取扱いの動向にも注目される。
 というのも、今回の勉強会では、交際費の損金不算入制度や800万円以下の軽減税率、留保金課税制度など資本金等を基準とした各種制度について、親法人の資本金等の規模を判定要素として、適用の有無を判定することが考えられるとされているためだ。
 これについては様々な意見が出されているが、いわゆる大企業の子法人は、単独の中小零細企業と異なり資金調達能力等に対する政策的配慮の必要が乏しいため中小企業に対する特例を受けさせる必要がない等との意見もあることから、適用が制限される可能性もありそうだ。
 つまり、大企業である親法人にぶらさがる100%子会社は、たとえ資本金が1円であってもグループ全体でみれば大法人の一部とみられるため、法人税の軽減税率等の恩典が受けられないこととなる可能性が考えられよう。





(以上参考;週刊「税務通信」第3078号)
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