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                                               2009年9月15日
 



  
平成21年分の上場株式等の配当所得の取扱いを確認
     
  
 

        申告分離課税制度等が本年から施行  


  平成20年度税制改正においては、上場株式等の配当所得に係る申告分離課税制度や、上場株式等の譲渡損失との損益通算制度が創設され、いずれも平成21年1月1日から施行されている(措法8の4、37の12の2:いわゆる特定口座内における配当と上場株式譲渡損との損益通算制度の施行は平成22年1月1日から)。一方で、平成20年度税制改正においては、同改正前には一律に軽減されていた上場株式等の配当に係る税率は、平成21年1月1日から平成22年12月31日までは、上場株式等の課税配当所得が100万円以下の場合について税率を7%(個人住民税は3%)、100万円超の場合について、100万円超の部分×税率15%(個人住民税は5%)+7万円を所得税額とするとされていた。
 しかし、平成21年度税制改正が行われ、申告分離課税を選択した場合の上場株式等の課税配当所得に対する税率を、課税配当所得の金額に関係なく一律7%(個人住民税3%)とするとされ、平成21年1月1日から平成23年12月31日までの分に適用されることとなったため、結果的に、平成20年度税制改正前と同様の、一律の軽減税率を適用する措置が延長される形となった。
 このような経緯があるため、確定申告が近くなる前に課税方法等を整理しておきたい。


◆ 配当所得の課税方法は3種類


 配当所得の課税方法は、原則総合課税とされているが、上場株式等に係る配当等で平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に支払いを受けるべきものについては申告分離課税の選択ができる。また、確定申告が不要とされている配当所得もある(所法22A、措法8の4、8の5)。
 総合課税は、各種所得の金額を合計して課税する方法で、外国法人からの配当等を除いて配当控除を受けることができる(所法92)。税率は課税総所得金額により5%〜40%までの累進税率とされている(所法89)。
 申告分離課税を選択すると、平成21年以後の年分において、上場株式等の譲渡損失の金額、または、その前年以前3年以内の各年に生じた上場株式等の譲渡損失の金額のうち、前年以前で控除されていないものがある場合、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額から控除できることとされている。税率は一律7%と、総合課税を選択するより有利な場合が多いが、申告分離課税を選択した場合は、配当控除を受けることができないので注意したい。
 少額配当の申告不要制度は、大口株主等が受ける場合を除く上場株式等、上場株式等以外で、一回に支払いを受けるべき金額が、10万円×配当計算期間の月数÷12の金額以下であるものについて、確定申告しないことを選択できる制度で(措法8の5)、これらについては上場株式等の譲渡損失との損益通算と配当控除、ともに適用できないこととなる。


◆ 確定申告後に申告方法は変更できない


 本年6月に公表された通達(平成21年6月17日「租税特別措置法に係る所得税の取扱いについて」の一部改正等について(法令解釈通達)によると、一度選択した申告方法は、確定申告後に更正の請求や修正申告をする場合についても変更することはできないことが明らかにされている。
 例えば確定申告時に申告分離課税を選択し、その後に更正の請求をすることになった場合において、実は総合課税を選択して配当控除を受けた方が有利であったことが判明しても、申告方法を変更することはできないということだ(措通8の4ー1《上場株式等に係る配当所得について申告分離課税を適用した場合の効果》(新設)、8の5−1《確定申告を要しない配当所得を総所得金額等に算入した場合の効果》(改正))。




(以上参考;週刊「税務通信」第3079号)
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