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M&Aニュース

                                               2009年9月28日
 



  
 適格合併等による基準所得金額に係る
           調整繰越欠損の留意点
     
  
 

 被合併法人等の欠損の引継ぎは当期の基準所得に影響されず





  特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度(法法35条、法令72条の2)は、適用除外基準の判定で基準所得金額を計算するが、基準所得金額は、欠損金の繰越控除制度と同様に、適格合併等が行われると、被合併法人等の欠損金額等を合併法人等の基準所得金額の計算に引き継げる。
 ただ、引き継げる時期は当期ではなく翌期以降であるため、すぐには基準所得金額の引き下げにはならないことを確認しておきたい。


◆ 一定要件で調整繰越欠損も引き継げる


 基準所得金額は通常、以下の算式で表される(法令72条の2D)。

基準所得金額=(調整所得金額−調整欠損金額−過年度欠損金額の調整控除額)×36分の12

 加算項目の調整所得金額や減算項目の調整欠損金額は、過去3年の所得や欠損金額、欠損金の繰越控除制度に係る控除額、業務主宰役員給与額を使って算定され、減算項目の過年度欠損金額の調整控除額も、通常当期4年前以前の調整繰越欠損金額を、過去3年の調整所得金額から控除したものであるため、当期の利益等で調整を行えない。
 このうち、調整繰越欠損金額は、@特殊支配同族会社該当事業年度より前では欠損金額を、A特殊支配同族会社該当事業年度以後では調整欠損金額を、利用する(法令72条の2D)。
 ところで、欠損金の繰越控除制度は、当期前7年間に生じた欠損金額を当期の所得から控除する制度で、適格合併等が行われた場合で特定資本関係の状況や共同事業要件の要件等を満たせば、適格合併等が行われた事業年度前7年間に生じた被合併法人等の欠損金額も合併法人等に引き継がれる(法法57条)。
 このような適格合併等が行われれば、基準所得金額の計算においても、合併法人等が特殊支配同族会社である場合、合併法人等の調整繰越欠損金額の要素である前記@、Aに、被合併法人の前記@、Aの欠損金額等が含まれる仕組みとなっている(法令72条の2E)。


◆ 「当該事業年度前」の各事業年度と規定


 ただ、合併法人の前記@、Aの欠損金額等に、被合併法人等のものを含むことができるのは、『当該事業年度前の各事業年度において特殊支配同族会社を法第57条第2項に規定する合併法人等とする同項に規定する適格合併等を行った場合・・・・』と定めている(法令72条の2E)。つまり、当期の基準所得金額の計算では、被合併法人等の上記@、Aの欠損金額等は含まれないことになる。
 基準所得金額は、前述のように当期で調整等ができない。また、適格合併等が行われても、被合併法人の欠損金額が引き継がれれば、その事業年度における合併法人等の所得は変動するものの、過去の計算まで影響を受けない。さらに、欠損金の繰越控除制度は、発生した事業年度より前の事業年度の所得を控除できない。
 このため、適格合併等が行われた事業年度が基準期間に該当する翌事業年度以降に、合併法人の上記@、Aの欠損金額等に被合併法人の上記@、Aの欠損金額等が含まれることとなる。




(以上参考;週刊「税務通信」第3080号)
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