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M&Aニュース

                                               2009年10月05日
 



  
      民主党の「公開会社法」構想
           
       
 

        新政権発足で新法制定の可能性も
             

  第172特別国会が9月16日に召集され、同日、民主・社民・国民新3党連立の鳩山内閣が発足。これにより、「公開会社法」の制定が現実味を帯びてきた。民主党では、株式を公開している会社のルールを整理した、「公開会社法」(仮称)の制定を目指し、2007年に公開会社法プロジェクトチーム(座長:鈴木克昌衆議院議員)を立ち上げた。
 今年6月までに17階の会合を開き、東証、日本経団連、連合、外国投資会社等からヒアリングを行い、7月に報告書を取りまとめた。衆院選時の政権公約(マニフェスト)には盛り込めなかったが、新政権発足でその制定に向けた議論が本格化しそうだ。


◆ 公開会社法PT報告書の中身は


 「公開会社法」は、有価証券報告書提出会社(公開会社)に関して、会社法の特例を定めるもので、会社法と金融商品取引法で横断的に規定されている開示、会計、監査などのルールを一本化し、公開会社向けの統一的な法整備を図ろうというもの。経済財政諮問会議のワーキング・グループでも議論された。民主党の構想では、法制化にあたり、@情報開示の徹底、A内部統制の強化、B企業集団の明確化、も図る。具体的には、下記の通りである。企業グループを基本単位とすることなどを掲げている。

 
公開会社法PT報告書「公開会社法(仮称)制定に向けて」(抜粋)
 【公開会社をめぐる現行法制の主な問題点】
 会社法(裁判規範)と金融商品取引法(行政規範)が並立しており、混乱を招いている。
(1)会社法と金融商品取引法との間で、情報開示や会計のあり方が不明確となっている。
◆決算公告、財務諸表、会計監査、新株発行手続、公開買付など、会社法と金融商品取引法との間で異  なる手続が存在する。
(2)適正な企業統治を実現するシステムが担保されていない。
◆資本市場から見て、企業統治のあり方が水準に達していない。
 ・社外取締役制度の狙いが達成されていない。
◆「会社のあり方」に対して、従業員の意見を反映する仕組みがない。
 ・会社法では、清算時以外は従業員の意見を聴かなくてよい、
◆M&A法制が整備されていない。
 ・企業買収者に対する「全部貸付義務」や「企業経営方針の明示義務」がない。
◆監査役が有効に機能していない、。
 ・経営陣になれなかった人が監査役になるようでは、牽制にならない。
◆会計監査への経営陣の影響が強い。
 ・経営陣が会計監査人を選んで報酬を決めるようでは、適正な監査に疑いが残る。

(3)企業集団の取扱いが明確ではない。
◆金融商品取引法と会社法で、企業集団の取扱いに違いがある。
◆親会社の子会社に対する責任が明確ではない。
 ・親会社の株主や取締役が持つ、子会社の意思決定、業務執行の権限が明らかでない。
 ・企業集団として事業上一体なのに、損害賠償や株主代表訴訟が分断されている。

【民主党の「公開会社法」(仮称)制定でどのように変わるか】
 公開会社に適用される手続を法令で明確に定めることで、実務に役立てる。
(1)公開会社にふさわしい情報開示のあり方が明確になる。
◆情報開示について、一般の会社よりも強化する。
 ・金融商品取引法の情報開示制度、財務諸表制度、会計監査制度を準用する。
 ・株主の随時質問権と会社の回答義務を設ける(制限あり)。
(2)内部統制を強めることで、企業統治が向上する。
◆資本市場が要求する企業統治を実現する。
 ・社外取締役の条件を強める。
※委員会設置会社と取締役会・監査役併設会社の選択性は維持する。
◆監査役の一部を従業員代表から選任する。
◆監査役の独立性、機能性を強化する。
 ・公認会計士、監査法人の監査役会等に対する報告義務を設ける。
◆公認会計士の「インセンティブのねじれ」を解消する。
 ・会計監査人の選任、報酬決定の権限を監査役会等に移行する。
(3)企業集団を基本単位とすることで、分かりやすくなる。
◆企業集団については、金融商品取引法上の概念を前提とする。
◆親会社は、子会社の会計制度、内部統制制度の構築と運営に責任を負う。
 ・子会社の重要な意思決定は、親会社の株主総会で承認を要する。
 ・親会社は、子会社の取締役における業務執行を指揮できる、
 ・子会社債権者に、親会社および親会社取締役に対する損害賠償の請求を認める。
 ・親会社株主に、子会社への代表訴訟提起権を付与する。



(以上参考;週刊「経営財務」第2935号)
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