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M&Aニュース

                                               2009年10月28日
 



  
   会計基準は「連単分離」を
           
 

  日商 22年度税制改正要望書を提出




 日本商工会議所が「平成22年度税制改正に関する要望」をとりまとめ、10月8日に公表した。日商では毎年この時期に要望書を公表、政府等関係組織に提出している。今年は、@企業の競争力・成長力の強化、A地域経済の活性化、B経済社会の変化への対応、の3本を柱に計15項目の課題を取り上げた。この中で、「会計の国際化からの影響回避」として、IFRS(国際財務報告基準)の導入による中小企業・非上場企業への実務負担を懸念、会計基準を連結財務諸表と個別財務諸表とで分ける、いわゆる「連単分離」を強く求めている。


◆ 経済危機脱却へ要望15項目


 日商が取りまとめた要望の重点項目は次のとおり。

1.企業の競争力・成長力の強化
(1)中小企業等の経営基盤強化に資する税制
(2)事業承継の円滑化に資する税制措置の拡充
(3)環境対策(地球温暖化対策等)の促進
(4)雇用を促進する税制措置等
(5)グループ法人税制
2.地域経済の活性化
(1)土地税制等の見直し
(2)住宅税制の充実・延長
(3)観光促進や中心市街地等の活性化のための税制措置
(4)事業所税の廃止
(5)国と地方のあり方と税制
3.経済社会の変化への対応
(1)消費拡大に資する税制措置
(2)大規模地震対策の促進
(3)「会計の国際化」からの影響回避
(4)公平・公正・効率的な納税環境等の整備
(5)活動実態を踏まえた非営利法人課税の実施

 日商では、現下の経済情勢を受けて「企業の活力を引き出し、雇用の維持・増大に向け思い切った税制措置が必要」とした。


◆ 会計基準の「連単分離」求める


 上場企業の間では、IFRSの早期適用や強制適用の時期、適用に向けた対応準備などが視野に入ってきた。こうした中、要望書には「会計基準の連単分離」を求める項目がある。日商が懸念するのは、会計コンバージェンスについて当局が示した「連結先行」の方針。「このまま行けば、個別財務諸表もいずれはIFRSになる」、「中小企業に対応を求めるのは酷」だという。ならば「連単分離」することで、確定決算主義による税制、日本固有の商慣行を踏まえた制度を維持すべきとの考えだ。日本経済団体連合会なども連単分離に前向きの姿勢。また、専門家は「コンバージェンスといってもこれからの課題や包括利益といった今後のテーマは実務レベルで解決できない。会計基準の”そもそも論”」と指摘。こうした動きに税制は対応できないとの見方だ。
 一方で、連結先行は連単分離ではなく、「あくまでも単体が先行する連結に追いつくことが前提」とする考えも強い。今年はじめに開催した金融庁・企業会計審議会企画調整部会では、「日本の制度で連単分離は事実上不可能。子会社の合併や分離など、名目的な組織の変更で連単の基準を使い分けることも可能。基準そのものの信頼性が損なわれる」との指摘があった。
 いま勢いを増す「連単分離」論だが、問題点の洗い出しと、関係者間での議論が必要だろう。





(以上参考;週刊「経営財務」第2940号)
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