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M&Aニュース

                                               2009年11月04日
 



改めて確認

 損金算入配当や優先配当も益金不算入制度の対象
           
 

  租税回避を意図した出資は益金不算入が認められない場合も




 内国親会社が外国子会社から、子会社側で損金算入が可能となる配当や、優先株式に対する優先配当を受け取った場合、外国子会社配当益金不算入制度の対象として取り扱われ、内国親会社側では益金不算入として取り扱われることはこれまでもお伝えした。
 この点に関連しては、廃止された間接外国税額排除制度において、損金算入配当及び優先株式に対する優先配当は税額控除制度の対象に含まれないとされていたことから、外国子会社配当益金不算入制度においても、損金不算入の対象となる剰余金の配当等の額については、特段の制限が設けられていないので問題ない。
 しかしながら、租税回避を意図して外国子会社に対して出資を行い、その出資に基づいて、外国子会社から配当等を受け取っているような場合には、いわゆる租税回避スキームとして、益金不算入制度の適用が認められない場合も想定されることから、注意が必要だ。


◆ 制度の対象となる剰余金の配当等


 21年度改正で創設された外国子会社配当益金不算入制度の適用の対象となる配当等の額とは、法人税法第23条第1項第1号に想定されている「剰余金の配当」等の額とされており、具体的には、剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配の額となる。
 これは、外国子会社の所在地国の法令等によって認識される配当等とは、日本の法人税法において認識される配当等の範囲とは異なるケースも想定されるため、外国子会社配当益金不算入制度の対象となる剰余金の配当等の額を、日本の法人税法によって配当等と認識される配当等と規定してしまうことだ。
 また、これまで、間接外国税額控除制度の対象となる外国子会社の配当等に、損金算入配当及び優先配当は含まないとされていたため、外国子会社配当益金不算入制度においても、制度の対象とはならないのではないかと、取扱いを不安視する向きもあるようだが、対象となる剰余金の配当等の額については特段の制限が設けられていないので、損金算入配当、優先配当も益金不算入として取り扱われる。


◆ 租税回避を意図した配当等は


 よって、法人税法上の配当等と認識される配当等であれば、外国子会社配当益金不算入制度の対象として取り扱われる配当等と考えられるわけだが、気をつけたいのは、租税回避を意図した出資に基づいて受け取る配当等と認められるような場合には、その配当等に係る益金不算入制度が適用されない場合もあるということ。
 これは、例えば、配当等の元となる外国子会社への出資が、いわゆる租税回避スキームの一部として行われており、著しく課税上の弊害があると認められるようなケースであると判定される場合には、その受取配当等に係る益金不算入の適用が認められないことも考えられるということだ。
 特に近年、国際取引を用いた租税回避スキームが多様化していることから、損金算入配当や優先配当を受け取る場合には、監視の目も厳しくなることが予想される。




(以上参考;週刊「経営財務」第2940号)
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