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連結決算上は将来加算一時差異としてスケジューリング |
Aの利益 | Bの当期利益 | |
22年2月期 | 100 | 100 |
23年2月期 (予想) | 100(B社からの受取配当金相当額) | 0(前期から繰越された留保利益100をA社に配当) |
このケースで、22年2月期(当期)の海外子会社Bの当期利益100がその期では丸々留保され、23年2月期(翌期)に親会社Aへ配当される場合、上記表のように23年2月期のAの当期利益は100となることから、23年2月期では次のような別表調整を行う見込みとなる。
親会社Aの予想ベースの別表四
(平成23年2月期:一時差異解消の考慮前)
当期利益 | 100 |
加算 | |
減算 | 95 |
所得金額 | 5 |
なお、連結決算上は上記の「所得金額5」に税率40%を乗じて、「法人税等調整額2/繰延税金負債2」という連結修正仕訳を行う。つまり、一般的には、親会社A・海外子会社Bそれぞれで税効果の検討を行った上で個別財務諸表を作成するが、この「繰延税金負債2」は連結決算上生じるものなので別途、追加的に連結財務諸表に加えることとなる。
◆ 個別財務諸表(親会社A)22年2月期のスケジューリング
この前提で、親会社Aにおける22年2月期末の「繰延税金資産の回収可能性」(スケジューリング)を検討する際に、仮に、将来減算一時差異が22年2月期末にあるとする場合(このほか、減算・加算差異は生じない)、次の表のように、この5が23年2月期中に解消されるとするならば、同じ23年2月期末の将来課税所得5(親会社Aの23年2月期の当期利益(予想)は海外子会社Bから得られる100のみなので、海外子会社Bから配当される100の5%分である5が将来課税所得となる)と相殺できることになり、結果、繰延税金資産の回収可能性は有ることとなる、(説明を簡略化するため、スケジューリングの手順や会社区分は考慮しない。)
親会社Aのスケジューリング表
22年2月期末 | 23年2月期中 | |
将来減算一時差異 | 5 | △5 |
将来加算一時差異 | 0 | 0 |
将来課税所得(一時差異解消の考慮前) | - | 5 |
将来課税所得(一時差異解消の考慮後) | - | 0 |
未相殺将来減算(加算)一時差異残高 | - | 0 |
◆ 連結財務諸表 22年2月期のスケジューリング
一方、連結決算における親会社Aでもスケジューリングを行うこととなるが、ここでは単独決算における親会社Aのスケジューリングとは異なり、将来課税所得が生じない(連結決算上、海外子会社Bから親会社Aへの配当のような内部取引は相殺消去されるので。)また、22年2月末には海外子会社Bから配当を受けることによる将来加算一時差異5が存在している。
このため、仮に連結決算における親会社Aで22年2月期末に将来減算一時差異が5あり(このほか、、減算・加算差異は生じない)、下表のように、この5が23年2月期中に解消されるとするならば、これを海外子会社Bからの配当金によって解消される将来加算一時差異5と相殺できるので、結果、繰延税金資産の回収可能性は有るということとなる。
連結決算上のスケジューリング表
22年2月期末 | 23年2月期中 | |
将来減算一時差異 | 5 | △5 |
将来加算一時差異 | △5 | 5 |
将来課税所得(一時差異解消の考慮前) | - | 0 |
将来課税所得(一時差異解消の考慮後) | - | 0 |
将来減算一時差異の未相殺残高 | - | 0 |
(以上参考;週刊「税務通信」第3088号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)
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