2009年12月11日
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無償減資の資本割特例
制度全体の平仄をとれば恒久化も
政府税調 無償増資に係る法整備があれば恒久化も視野に
一定規模以上の赤字企業や上場目前のベンチャー企業を関与先とする実務家の間で、外形標準課税の軽減措置「無償減資に係る資本割特例」が注目を集めている。
というのも、同特例は欠損てん補のための無償減資等を行う場合に、その減資分を外形標準課税の「資本割」の課税標準(法人税法上の資本金等の額)から控除することで税負担を軽減させるものだが、その適用期限が22年3月31日と迫っているからだ。
この点につき、経産省は22年度のためには、無償減資の場合に外形標準課税を軽減させる旨の規定だけを本則に組み入れるのではなく、無償増資の場合に外形標準課税を増加させる旨の規定も盛り込むべきとの意見もある。政府税調の議論では国税ばかりが注目されがちだが、地方税にも重要な項目があるので留意すべきだろう。
◆ 無償減資等に係る資本割特例とは
「無償減資等に係る資本割特例」とは(地法附則9CK)、例えばA社が赤字の穴埋めのために資本金100(全額)を取り崩す場合、会計上は資本金100を減らすが、法人税法はその100を資本金等の額に加算するため(法令8)「資本金等の額」は変わらない。結果的に、赤字で無償減資したにも関わらず、資本割の課税標準である「資本金等の額」が変わらないこととなるため、外形標準課税の負担が生じてしまう。
そこで地方税法上は特例規定を設け、欠損てん補のために無償減資等した場合には、その減資分を「資本金等の額」から控除することで税負担を軽減させる措置を講じているわけだ。
◆ 平成22年3月31日で期限切れに
とはいえ、同特例は、平成22年3月31日までに開始する事業年度に限り適用する時限措置であるため、3月決算法人の場合、仮に同特例の延長等がなければ22年3月期で期限切れとなってしまう。業績不振に苦しむ企業にしてみれば、外形標準課税の負担が増えるかどうかといった点などで、同特例の延長等の有無は注目を集めている。
◆ 経済産業省は恒久化措置を要望
経産省では22年度税制改正要望として同特例の”恒久化”措置を要望しているが、政府税調は同特例の恒久化は「要件等の見直しが適切にできれば認める」ものとしている。
具体的には、前述の無償減資とは逆で、無償増資の場合に、資本割の課税標準にその増資分を加算して、外形標準課税の負担を増加させるような規定を導入するかどうかなどが要望受入れのポイントとなる模様だ。
◆ 無償増資は極めて少ない模様
なお、実務上は、無償増資を欠損てん補のために行うことは多々あるが、無償増資は極めて少ない。稀に、中小企業が入札のために実施する程度のようだ(資本金が一定額以上でないと入札に参加できないケースがある)。無償増資に係る規定整備により、税負担の影響を受ける企業は非常に少ないものと関係省庁は見ている。
(以上参考;週刊「税務通信」第3092号)
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