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M&Aニュース

                                               2009年12月16日
 




         保証債務の特例

           
 

  
 

 企業再建の場面では、社長が私財を投げ打ち再建に取り組むこともあるが、その際に、「保証債務を履行するために資産を譲渡した場合の課税の特例」の適用を受けることができるかどうか気にする向きもあるようだ(所法64A)。
 というのも、資産の譲渡があった場合、通常は、それが企業再建に必要なものであるかどうかなどに関わらず譲渡所得課税の対象となるが(所法33@)、前述の特例の適用を受けることができれば、その分について譲渡所得が生じず、社長に税負担が生じないこととなるからだ。
 とはいえ、どう特例は厳密な要件をクリアしなければ適用されないので留意されたい。まず、ここでいう「保証債務」だが、これは例えばA社がB銀行から100を借入れ、その際にA社の代表者であるCが保証人となったが(=「保証債務契約」を結んだが)、その後A社が100を返済できなくなった場合、代表者Cが代わりに弁財する債務のことだ(民法446等)。
 この債務を代表者CがB銀行に弁済することを「保証債務の履行」といい、これが同特例の適用を受けるための大前提となる。
 同特例では適用要件として、@前述のように資産譲渡時に、「保証債務契約」が存在し、Aその資産譲渡で得た代金で「保証債務の履行」等をしており、Bさらに、保証債務の履行により生じる「求償権の行使」が不能であるならば、その資産の譲渡をしなかったものとみなし、譲渡所得は生じないとしている。上記例でいえば、代表者Cが自宅を譲渡し現金100を得て、これをB銀行に弁済したが、A社の経営が傾いているため代表者CがA社に対する求償権100を全く行使できないのであれば、その現金100を譲渡所得とはみなさず、その分の課税は生じないということだ。
 このように適用要件は厳密なものとなっている。実際、従前は実務家の間では、会社が「解散」しない限り同特例の適用はないと見られていたほどだ。現行通達においても、同特例の適用要件の一つである求償権の行使が不能なのか否かという点については、法的整理等のほか(所基通64−1、51ー11)、一定の要件をクリアした私的整理の場合などでなければ認められないとしている。





(以上参考;週刊「税務通信」第3092号)
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