運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2009年12月21日
 




 公正価値測定・開示 懸念は実務負担増 

           
  IASBの基準公表、当初計画より遅れ 


  
 企業会計基準委員会(ASBJ)は、現在、金融商品専門委員会において「公正価値測定及び開示」を審議している。8月に公表した「論点整理」へのコメント募集が10月に終わり、その内容がまとまったことから今後の対応を図る。
 公正価値測定を巡っては、海外でも議論が進められている。国際会計基準審議会(IASB)はASBJの「論点整理」に先立つ5月に公開草案「公正価値測定」を公表、11月2日のノーウオーク(米国)に続いて27日には東京でラウンドテーブル(RT)を開催し、市場関係者らの意見を直接聴いた。


◆ 論点整理、3つのテーマ


 「公正価値」の概念や定義を巡る海外動向をみると、IASBとFASBがお互いにあわせる方向で収斂作業を進めている。現行の日本基準には「公正価値」の定義などはなく、各基準において、公正価値とほぼ同義とされる「時価」が定義されている。会計基準の国際的な収斂の中で、日本でも対応が必要になるのは確実。ASBJは論点整理を踏まえて今後の方向性を検討中だ。
 その論点整理の中で、3つのポイントとして提示されたのが@公正価値の概念、A公正価値の測定方法、B公正価値測定に関する開示、である。


◆ 関心は実務対応


 ただ、集まったコメントをみると、「概念や測定方法の導入についての消極的な意見は少ないが、実務に直接影響する開示については懸念もあるようだ」(ASBJ)という。ASBJのまとめでは、3つ目のテーマである「公正価値測定に関する開示」に対して、開示項目の絞り込み等を求める声が強い。例えば、公正価値ヒエラルキーを導入した場合の開示では「レベル分けやレベル3の調整表は実務負担が非常に大きい」、「必要最低限の開示に止めるべき」といったもの。開示を巡る消極的な見解は、おおむね次のような内容に要約される。
 ・実務負担に配慮し、開示対象や開示項目は慎重に検討すべき
 ・公正価値が注記されているものまで開示対象とすることに反対 他


◆ ラウンドテーブルでの意見


 金融危機をきっかけに、IASBはコメント募集だけでなく、主要な市場を抱える日本や米国でRTを開催するなど関係者から直接意見聴取できる場を設けている。この動きは、「意見をきかない」との批判があったIASBの基準設定プロセスへの対応の一環と見られる。だが、これにより基準設定の計画が後ろ倒しになる可能性もある。「公正価値測定」もその一つ。もともと2010年の6月までをメドにした基準公表が3ヶ月ほど後にずれ込む見込み。
 東京のRTでは、公正価値を「出口価格」で統一しようとするIASB案に対して、「負債を公正価値(出口価格)で測定するのは困難」との指摘があった。実際、負債を第三者に移転できるような市場は稀で、公正価値の算定には理論的な検証が必要になりそう。これに対してIASBは「興味深い」と反応したが、指摘内容がどのように反映されるのかにも注目だ。





(以上参考;週刊「経営財務」第2945号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo