2010年01月04日
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グループ法人間の譲渡取引の課税繰り延べは
連結納税と同制度に
22年度税制改正で導入される見込みのグループ法人税制の詳細
平成22年度税制改正の法人税改正の目玉の一つといわれている「グループ法人税制」。100%支配関係のある法人を一つのグループととらえ、同法人間で資産の移転を行った場合には、その譲渡取引による損益をグループ外へ移転する時まで繰り延べる制度等が、織り込まれる見通しとなっている。
ところで、一つの資産についてグループ内で複数回にわたり譲渡が行われた場合、”グループ内での資産の移転”であるため、いずれの譲渡取引も課税が繰り延べられることとなるのか、それとも、連結納税制度と同様に1度のみ課税の繰り延べとなるのか、今夏に公表された「勉強会の論点とりまとめ」では明確にされていなかったこともあり動向が注目されてきた。
この点について本誌がこのほど取材を行ったところ、グループ法人間の譲渡取引の課税繰り延べは、連結納税制度と同制度とする方向であることが明らかとなった。実務担当者間でかねてから懸念されていた、いわゆるグループ外への譲渡時までの資産の追いかけは不要となる。
◆ ”グループ外移転時まで繰り延べ”とは?
平成22年度税制改正では、100%支配関係のある法人を一つのグループとしてとらえ、グループの要素を加味しながら単体で課税を行っていくグループ法人税制が導入される見通しとなっている。
グループ法人制度の目玉として、グループ法人間で含み損益のある資産の譲渡を行った場合、グループ全体でみると右から左へと資産が移動しただけとみることができるため、移転した資産に対する譲渡取引の損益をグループ外へ譲渡されるときまで認識しない「譲渡取引の課税繰り延べ」が新たな制度として設けられる方向だ。
ところで、この譲渡取引の課税繰り延べは、今夏に公表された資本関係取引等に関する税制勉強会の取りまとめでは、”グループ外に移転する等の時まで計上を繰り延べる”と記載され、その詳細は明らかとはされていないかった。
実務担当者の間では、仮に複数回にわたり資産の移転が行われた場合、その資産がグループ外へ移転する時まで追っていかなければならないこととなるのか、それとも連結納税制度と同様に1度目の資産の移転のみ課税の繰り延べが行われ、その資産が更に別の法人へと移転した時に譲渡損益を認識することとなるのか、その動向が注目されてきたところだ。というのも、グループ外へ譲渡される時まで課税の繰り延べが行われることとなると、例えば孫会社やひ孫会社が行った譲渡取引の状況も随時管理していかなればならず事務負担の増大が懸念されるためだ。
◆ 2回目の資産移転時に譲渡損益の戻し入れを
グループ法人間の譲渡取引の課税の繰り延べは、連結納税制度と同様の仕組みとなる方向であることが明らかとなった。
つまり、法人が同一グループ内の他の法人に資産を譲渡したことにより生じた譲渡損益は、所得の金額の計算上調整を行うことにより繰り延べ、同資産が更に他の法人(グループ内外問わず)譲渡された時点において、繰り延べていた譲渡損益を益金又は損金の額に算入(戻し入れ)することとなる。
なお、譲渡取引を繰り延べられる資産の範囲も、連結納税制度の”譲渡損益調整資産”と同様となる方向となっている。
(以上参考;週刊「税務通信」第3094号)
(このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)
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