運営人:潟Gムアンドエーインタークロス
後援:税務研究会

M&Aニュース

                                               2010年02月03日
 




 外国子会社配当益金不算入や土地税制の取扱が新設
  国税庁 法人税基本通達等の一部を公表
 
     

 
  

 国税庁は1月8日、平成21年度の法人税関係法令等の改正に対応した法人税基本通達等の一部改正を公表した(平成21年12月28日付「法人税基本通達等の一部改正について」課法2−5、課審5−41)。
 平成21年度の法人税に係る改正では、外国子会社配当益金不算入制度や、特定の長期所有土地等の1,000万円特別控除制度、先行取得土地等の圧縮記帳の特例制度が創設されたほか、資産の評価損益や不正行為等の費用の損金不算入の改正等が行われ、今回の通達ではこれらの制度に関する留意点等が示されている。
 また、外国子会社配当益金不算入制度に関する経過措置が設けられているが、今回の通達では、新法適用に関する取扱いのみで、経過措置に係る判断規準等に係る具体例などについては別途、国税庁から近々Q&Aが公表される模様だ。


◆ 外国子会社配当益金不算入制度では適用となる外国子会社要件等を整備


 外国子会社配当益金不算入制度(法法23条の2等)は持株割合が25%以上、株式保有期間(6ヶ月以上)保有の外国子会社からの剰余金の配当等がある場合、配当等の95%相当額が益金不算入となる。
 まず同制度の適用となる外国子会社について、一事業年度で2回以上の配当等が行われた場合、外国子会社の要件に該当するかどうかは、配当支払義務が確定する日(配当の決議日等)において、それぞれの配当ごと判定していくこととしている(法基通3−3−2)。また、租税条約で決められた保有割合以上を所有し、株式保有期間要件を満たせば、租税条約が優先され、外国子会社の持株割合が25%を未満であっても同制度が適用されることが留意的に記されている(法基通3−3−3)。


◆ 米国LLCからの利益の分配は益金不算入制度の対象に


 次に同制度適用の外国源泉税の額は、損金不算入となること(法法39条の2)や、外税控除の適用を受けられないことに改められたが(法令142条の3F)、パス・スルー課税が適用される事業体に係る外国法人税の学も損金不算入、外税控除の不適用となることが明らかにされている(法基通9−5−5、16−3−36)。
 ところで、原則的には米国LLCについて、日本では「外国法人」に該当するものとされており、通達9−5−5、16−3−36では「その所在地国でいわゆるパス・スルー課税が適用される事業体で、我が国においては外国法人に該当する・・・(略)・・・内国法人に帰されるものとして計算される金額」と記されている。2つの取扱いは、米国LLCが外国子会社である場合で、そこから受ける利益の分配相当額について同制度の適用対象となって益金不算入となることを念頭に置かれたものとのこと。このため、外国子会社となる米国LLCから利益を分配されると原則、同制度が適用されて益金不算入となる一方で、外国法人税の額は損金不算入、外税控除の不適用とされることになろう。


◆ 外税控除の共通部分の額から益金不算入配当額を控除


 このほか、同制度の創設に伴ない外税控除の取扱いが改正され、外税控除の控除額の簡便計算に係る費用の共通部分(共通費用)の額について、同制度適用の益金不算入額分を、その配当の収入金額から控除して計算・配賦することとしている(法基通16−3−12)。さらに、負債利子の共通部分についても、その配当の株式の帳簿価額から同制度の適用となる益金不算入額の占める割合を控除した金額で計算するとされた(法基通16ー3−13)。


◆ 経過措置に係る取扱いはQ&Aで


 今回の通達改正では、同制度について数多くの項目が新設されたが、新設項目は平成21年度の法人税関係法令等の改正に対応したもののみ。特定外国子会社等から受ける剰余金の配当等の額、間接外国税額控除制度の廃止などについての経過措置に係る取扱いは、通達では示されていない。これら同制度に係る取扱いに関して国税庁では、具体例等を含んだQ&Aを公表する予定だ。


◆ 金銭債権は法人税法33条の評価換えの対象外となることを明確に


 企業再生関係税制では、評価損が計上できる場面が、(1)「物損等の事実又は法的整理の事実が生じた場合」(法法33条A)、(2)「会社更生法等の規定による更生計画認可の決定があった場合」(法法33条B)、(3)「民事再生法の規定による再生計画認可の決定その他これに準ずる事実が生じた場合」(法法33条C)に区分され、金銭債券については、上記(2)、(3)の場合のみ評価損の対象となった。
 通達では、法人の有する金銭債権は上記(1)の物損等の事実や法的整理の事実が生じた場合における評価換えの対象とならないことを留意的に示し、金銭債権の帳簿価額を減額した場合、減額相当額は貸倒引当金の繰入額として扱うことを併せて記している(法基通9−1−3の2)。
 法的整理の事実が生じた場合には、卸売資産や固定資産などの一般的な資産と合わせて、その法人が有する金銭債権の帳簿価額について時価まで減額された金額は貸倒引当金勘定への繰入額として取扱うことになるため、申告に当たっては別表の添付が必要となることに留意したい。
 また、「法的整理の事実」の例示として、棚卸資産と固定資産の評価損の計上できる次jつの取扱いで示されていた「民事再生法の規定による再生手続開始の決定があったことにより、棚卸資産につき評価換えをする必要が生じたこと」(旧法基通9−1−5(2)、9−1−16(2)について、新たに項目を設けて整理している(法基通9−1−3の3)。ただ、取扱い自体が変更されたわけではないとのことだ。
 21年度改正ではさらに、評価損益の対象除外資産の少額資産について、有利子負債が10億円未満のケースでの金額基準の額が1,000万円から100万円に引き下げられたことについて法令24条の2C五、68条の2B)、有利子負債の額は、再生計画認可の決定等の事実が生じた時の直前の額としている(法基通4−1−9注書き)。


◆ 2以上の法人との合併に関する特定資本関係の生じた日の取扱いを廃止


 法人税基本通達ではこのほか、2以上の特定資本関係法人と適格合併等を行った場合、特定資本関係が生じた日は各法人との間に特定資本関係が生じた日の最も遅い日とする旨を明らかにしていた通達が廃止された(旧法基通12−1−5、12の2−2−5)。廃止の経緯は、吸収合併の当事者は2者に限られるといった会社法の規定を前提にすると、2以上の法人を被合併法人とする吸収合併が同日に行われたときには、特定資本関係も個々の合併等でみることは明らかであること、またこのことは、昨年1月29日の文書回答『三社合併における適格判定について』で明らかにされたことによっている。
 21年度改正関係では、不正行為等に係る費用等の損金不算入(法法55条C)について、外国等の課徴金が追加され、EUによるカルテル等違反の制裁金も対象となるとし(法基通9−5−10)、棚卸資産の評価方法の後入先出法の除外に伴い(法令28条@)、通達も廃止・改正されている(法規通5−2−2等)。




(以上参考;週刊「税務通信第3098号)
       (このコンテンツの使用に関し(株)税務研究会の許諾を受けています。)






Copyright (C) 1999- M&A Intercross Co.,Ltd , All rights reserved.
omo