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M&Aニュース

                                               2010年02月10日
 




 匿名組合契約から生じる利益の分配を源泉地課税
  
 
     

      新日蘭租税条約が基本合意へ  




 昨年12月、日本とオランダの新しい租税条約が基本合意に至った。
 オランダとの条約の改正交渉は平成16年5月より開始されていたが、今回合意に至った新日蘭租税条約は、現行の「所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国政府とオランダ王国政府との間の条約」に代わるもので、現行の日蘭租税条約の内容が全面的に改正される内容になっている。
 ヨーロッパに進出している日系企業の多くは、オランダ国内に欧州本社や欧州地域の統括会社を設置しているが、今回の条約改正は、欧州に進出している日系企業の事業展開に大きな影響を与えることから、今後、条約が締結されて正式に発効されるまでの日程と新条約の適用時期等について注視する必要があるだろう。


◆ 匿名組合分配金を源泉地課税へ


 周知のとおり、現行の日蘭租税条約には、匿名組合契約からの利益の分配金について該当する所得条項が設けられていない。これについては、例えばオランダから日本の匿名組合契約へ出資があり、そのオランダの出資者に対して匿名組合契約に基づく利益を分配する際に、その利益の分配は、その他所得として取り扱われることとなり、日本で課税を受けることはなく、またオランダの国内法においても課税を受けないという問題があった。
 また、実際にこの日蘭租税条約の「その他所得」条項に関連して、オランダから日本の匿名組合契約への出資に基づく利益の分配金の課税を巡っては、課税当局と納税者の間で見解が異なり、訴訟に至ったケースもあったことから、日蘭租税条約の改正交渉の行方が、投資家や実務家から注目されてきた。
 新日蘭租税条約では、これまで問題視されてきたこの匿名組合契約から生じる利益の分配に対して、所得源泉地の課税権を確保する規定が導入されることとなった。よって、これまでに生じたような問題は解決されることとなる一方、企業や投資家の出資形態に影響を与える改正となりそうだ。


◆ 持株50%以上の親子間配当は免税に


 新日蘭租税条約では、配当、利子、使用料に対する課税が以下のように軽減・免除される。
 現時点では、条約原文の詳細が確定していないため、条約がどのような書き振りになるかは明らかにされていないが、新日米租税条約以降に締結された租税条約の内容を、新日蘭租税条約においても踏襲するものと想定される。
 また、条約特典の濫用を防止する規定が導入されることから、オランダ経由による日本への投資にも影響を与えることとなろう。

配当 利子 使用料
親子間(持株要件) その他
現行条約 5%(25%以上) 15% 10% 10%
新条約案 免税(50%以上)
5%(10%以上)
10% 免税(金融機関等)
10%(その他)
免税





(以上参考;週刊「税務通信」第3098号)
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