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M&Aニュース

                                               2010年02月19日
 




    DESに関する税務上の評価方法を提示
  
 
     

        経産省 研究会報告書を公表


 経済産業省は1月14日、「事業再生に係るDES(Dept Equity Swap:債務jの株式化)研究会報告書」を公表した。企業再生税制の適用対象となる一定の私的整理の場面におけるDESに関する税務上の時価評価方法を示したもの。平成18年度及び21年度税制改正において、税務上の取扱いが見直され、利用しやすい環境が整備される一方、DESを行う場合の税務上の時価評価の具体的な方法が不明であるため、その活用に支障があるとの指摘があったことから、「事業再生に係るDES研究会」を設置し、検討を行った。今後、国税当局に照会が行われる見通しである。


◆ 企業再生税制適用のケースが検討対象


 DESは再生局面以外でも行われることが想定されるが、今回検討を行ったのは、再生局面の中でも企業再生税制の適用対象となる一定の私的整理(法人税法施行令24条の2第1項の要件を満たすもの)におけるDES。研究会報告では、以下の整理を行い、これらの検討につき、設例を交え詳しく解説している。

再生手法会社の区分 法的整理 私的整理
企業再生税制適用場面 左記以外
上場会社 N/A(※) 検討対象 検討対象外
非上場会社 検討対象外 検討対象 検討対象外

《研究報告書における評価方法の検討》

 企業再生税制の適用場面におけるDESの対象となる債権の税務上の評価を行う場合、(1)再生企業の合理的に見積もられた回収可能額を算定し、(2)それを基に留保される債権とDESの対象となる債権に分け、(3)DESの対象となる債権の時価を決める。なお、債権者がDESにより取得する株式は、DESの対象となる債権の時価を用いて評価する。

 (1)再生企業の合理的に見積もられた回収可能額

 企業再生税制が適用されるような再生の実務では、実務上、債権者会議の開催に先立ち、資産評定基準に基づき、各資産項目及び各負債項目ごとに評価を行い、実態貸借対照表の債務超過金額をベースに債権者調整が行われ、事業再生計画における損益の見込み等を考慮して債務免除額が決定される。このように、再生企業の合理的に見積もられた回収可能額に基づいて債務免除額が決定されることとなる。
 なお、この実務を踏まえて、法人税法施行令第24条の2第1項では、企業再生税制の適用場面における債務免除額の算定方法として、@資産評定基準に従って資産評定が行われ、その評定による価額を基礎とした再生企業の貸借対照表が作成されていること(第二号)、A前号の貸借対照表における資産及び負債の額、債務処理に関する計画における損益の見込み等に基づいて債務免除等をする金額が定められていること(第三号)、が規定されている。

 (2)DESの対象となる債権の時価

 企業再生税制の適用される案件で、DESが行われる場合においても、再生企業からの回収可能額は、債務免除のみを行う場合と同様に算定される。このことから、再生企業が受け入れたDESの対象となる債権の時価は、合理的に見積もられた再生企業からの回収可能額に基づき評価することとなる。このような場合において、再生企業からの回収可能額の算定は、上記(1)@に従い作成した実態貸借対照表の債務超過金額に上記(1)Aの損益の見込み等を考慮して算定されることとなる。

 (3)DESに伴い交付された株式の税務上の時価

 金銭以外の資産の給付により取得した有価証券の取得価額は、法人税法施行令119条1項2号において、給付をした金銭以外の資産の価額の合計額とされている。この点、DESは、債権者が保有する金銭以外の資産である債権を現物出資し、その対価として株式の交付を受けるものであるため、交付を受ける株式の取得価額は、現物出資をする債権の時価によることとなる。この場合における現物出資債権の時価は、企業再生税制の適用場面においては、再生企業、債権者双方が合意をした回収可能額に基づき評価をすることが合理的であり、かつ、再生企業の処理とも整合的である。このため、DESに伴い交付された株式の税務上の評価額は、上記(2)により算定されるDESの対象となる債権の時価となる。




(以上参考;週刊「経営財務」第2951号)
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